過去のない男

過去のない男 [DVD]
吉祥寺ジャヴ50。相変わらず観難い劇場。一番前に座っちゃったよ。
カウリスマキはそれほど観てないんだけど、『浮き雲』を観た時から気になっていたのは、視線で繋いでシーンを作る巧みさ(というか健気さかな)、もさることながら、手の使い方がものすごく上手いことですね。画になるのです。タバコを持つ手、土を掘る手、人に触れる手がすべて格好良いのですね。これに比類するのは、ハワード・ホークスドン・シーゲルでしょうね。シーゲル映画で男たちが歩く時の手のぶらぶらさせかたは、例外なく格好良い。『ダーティ・ハリー』のイーストウッドと『テレフォン』のブロンソンが同じ後姿だったので「こりゃ演出だな」と思いました。
ハナシが外れましたが、手といえばロベール・ブレッソンになるわけですが、ブレッソンの手はただヤらしく、即物的なんですね。極端にいえばポルノのようなもんです。観察記といったほうが無難かな。
そこが、似たようなスタイルと言われているが、観た後味の差なのだろうかな。
ストーリーはシンプル。やー久々にSFX以外で女性の皺くちゃ顔を観たよ。その伝でいえば、ハリウッド映画に侵されているなと感じたわ。若者は出てこないし、カネのかかったものは何もない。それにも既に違和感を感じる自分がいてしまうことも確かだね。まータキシード着てこれに賞をあげるカンヌも偽善の最たるものだろうけどね。
クレジットで撮影機材アリフレックスBLⅡ、録音ナグラ、編集スタインベックという、アナログ機械が並んで、唐突にスシが出たのと同様に、ちょっとびっくり。
「ハワイの夜」もそうだけど、あまり画と音のシンクロに力入れてないね。音楽は後で選ぶんだろうか。画のリズム優先の人のようですな。ちょっと気になる。
関係無いけど、やたらみんなタバコを吸うけど、食べ物にも困っているのにそんなカネあるのかなあ。それでもクスリに手を出さないのは何故か。値段の違いなのか。誰か教えてください。