花弁の忍者桃影 忍法花ビラ大回転


中野貴雄
ヴィデオ

「里見光太郎がまだ水戸黄門だった頃、江戸では万華教と呼ばれる邪教が流行っていた…」という脱力する素晴らしいナレーションに、江戸城をバックに大蝦蟇が現れ、勇壮な音楽とともに物語ははじまる(いや、単に手にはめたカエル人形なのだけどね…)。
網タイツにバニーガールの耳という何の必然性もないが、こーでなきゃいかんというひたすら正しい、くノいちコスプレ。明らかに現代であるのだが、江戸時代の設定の東京ロケで、忍び込む相手の館のオフィスにはパソコンが導入されており、密書のデータをフロッピーにコピーして持ち帰ると言う、定番の指命を果たさんとすると、やっぱり敵のセクシーなくノいちが現れて、くんずほぐれつな世界に入り、もう物語はどっかに行ってしまうのだが…。とりあえず、なぜかビデオなのに、CMタイム前の♪「花弁の忍者〜桃影」というよくあるポーズ入りのワンカットが挿入されたところで、いきなり場面は変わって行く。やっぱ忍者といえば、オッチョコチョイな後輩やデキルあこがれの先輩がいるのは、赤影やカスミ伝でのお決まりなのでそこら辺もフォローされている。痛いところに手が届くサービスなのだ。もちろんエロの期待にそぐわず、物語の流れを止めても入るという正しいつくりになっている。
何があろうが、中野作品の好きなところは、どんなにベタな定番なことをやろうが、それが半端なパロディとか、なんちゃってのスカした態度ではなく、きちんとやればまだまだ奇天烈な話を展開できることを信じているところなのです(きちんとというのはクソまじめということではない)。まあその匙加減がセンスなのだと思います。