ピーウィーの大冒険

ピーウィーの大冒険 特別版 [DVD]
ティム・バートン
DVD
いま観ると結構、ポール・ルーベンスはアブナい。どう見てもやっぱ変質者にしか思えない。ティム・バートンも危うくルーベンスの磁場に引き寄せられそうになったのではないか。永遠の子供の無垢と残酷さを備えたオトナはどう考えてもヤバい。昔はピーター・パンで済まされていたものが、いまじゃマイケル・ジャクソンだからだ。
それが犯罪に行くか、エンターテインメント(芸術)に行くかの分かれ道は時間の問題だったのだと思う。バートンが抜け出して、『ビートル・ジュース』、『バットマン』へのメイン・ストームを大人との和解を擬態することで進んだのとは反対に、ルーベンスは刑務所へと行くはめになる。
望まれずこの世に生まれ見捨てられたまま大きくなってしまった子供というのが、バートンの変わらないモチーフだとしたら、スクリーンのなかだけでなく実世界でも体現してしまったのが、ピーウィールーベンスだったのではないか。そんな彼には敵わないと思ったバートンが、成人映画館で下半身露出していたルーベンスを警察に通報したに違いない。バートンは彼に嫉妬とともに恩義を感じて、自作に再び出演を乞い映画界への復帰を手伝ったのではないだろうか。