ピストルオペラ

ピストルオペラ [DVD]
DVDにて。
冒頭いきなり、ふっくらとしたジュリーのアップが、画面いっぱいに。「ああ、スタンダードじゃないか」とちょっと驚く。映画館に行かなかったのは、予告を観て『カポネ大いに泣く』の記憶がよみがえったからでして…。でもDVDで観た本作は面白かった。ただ劇場だったらいたたまれない気分になったかも知れないなあ。
その意味じゃ鈴木清順はまさに撮影所付き巨匠なのだろう。自分のやりたいこともわかっていて、セットの作りやキャメラの位置も読めてしまう。ただ予算が無くともそれを誤魔化し回避する術を使わない頑固さがある。
だから観客は、必然的に日活以後のすべての作品に対して、日活の撮影所のシステムを使って作ったらどうなっているかを想像しながら観なくてはいけない。ロケセットであろうと、ホリゾントだけのスタジオだろうと、そこに木村威夫が作ったであろうセットを想って観ないといけない。これは観客の義務なのです。ありとあらゆる画面に日活時代のあの硬いフジカラーで日活スコープを幻視しないとならない。そういう意味じゃDVDは七難隠すちいさなスクリーンですな。
前田米造の色の濃さと昔ながらのシャープな照明は良かったです、被写体のテカリ具合が人工的でなかなかヘンな感じが良く出てました。
江角マキ子のタッパがあるので映えますな。清順映画のヒーローの格好良さとヒロインの強い部分がうまく溶けあって、無国籍な感じが出てたと思います。続・殺しの烙印にしては宍戸錠がでていなかったのが不思議です。なぜ足の短い平幹二郎だったのか。
やー『カポネ』は観直したらおもしろいのかな?