鞍馬天狗 鞍馬の火祭

鞍馬天狗決定版 鞍馬の火祭 [VHS]
1951:大曽根辰夫 松竹京都
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD27392/index.html
鞍馬天狗大曽根バージョンはやはりつまらないなあ。ただ美空ひばりをはじめとする歌い手が次々に歌いだす歌謡シーンは良いというか歌が出るとホッとするくらいしか他は定番に定番を重ねたお手軽ムービー。
まあドラマがグダグダだから余計そう感じるのかもしれない。京都のお茶屋に天狗が現れ、それを幕府側の京都所司代の侍たちが取り囲んで、さあこれからどうなる…というところでフェードアウト。えーっ!そして次のシーンではなにごともなかったかのように翌日になっている。はぁテレビですか?CMも無いのに。そんな具合に展開し続ける思い付きの連続なので脱力すること数限りなし。
まあそれでもアラカンあっての鞍馬天狗だからねえ。アラカンの座っている姿やすそ捌きが美しくて惚れ惚れしますな。清く正しいキャラは一歩間違うと笑っちゃうんだけど、アラカンだから許すって何様だよ>オレ。このセルフパロディは「網走番外地」の鬼虎親分へと発展していくのですね。昔オールナイトでこの伝説の親分がいつ名乗るかと期待していると、必ず折り目正しく名乗るので、みんな待ってましたとばかりに場内で笑いが起きるのが良かったなあ。
天狗キャラっていま思うと幕末の京都というドラマチックなところにいるから、史実をかえちゃいけないので、歴史上の人物は斬れないので、どうも肝心なところが地味になっちゃって、歴史の知られざるところに天狗ありになるんだよね。近藤勇より強いけど、斬っちゃ歴史が変わっちゃうからね、だから「今日のところはこの辺で…」となるから観ている方は不完全燃焼だ。
その意味じゃ大胆に時代を明治に変えて、原作者の大仏次郎も呆れたという伊藤大輔の「鞍馬天狗 横浜に現る」は傑作だと思う。観終わって唖然としたもんな。こんな映画を戦争中によく作ったと思う。大活劇だよ。ホント。