暴れん坊兄弟

暴れん坊兄弟 [VHS]
1960年 沢島忠
レンタルビデオ屋に並ぶ沢島作品群。松田定次、佐々木康と同様どこから手をつけてよいのかまったくわからない。
東千代之介と中村嘉津雄の正反対な性格の兄弟がお家騒動を解決する90分の物語。ただただ面白いだけ!映画になにをそれ以上を求めるのか、大画面で観ていたらまさに至福の時なのだろうなあ。沢島忠の動き回るカメラ、走り回る役者のスピードが心地よい。映画はやはり若者のものだ。時代劇の意匠を借りた現代劇。作り手の若者たちの民主主義への確信が、その観念を具現化していくことを躊躇しない若さが潔い。それが時代の勢いとかいうもので観客を巻き込んではじめて成立する大衆芸能なのだろうね。時代の明るさと理想がスクリーンから溢れ出ている。
それゆえに時代の挫折とともに形式だけ残り、形骸化していき支持を失っていき、対象を大衆からセクトだけの支持へと縮小再生産しながら表現は過激に移行していくというのは歴史が証明しているよね。橋本治みたいになったけどそういうものだと思う。だったらどうするという答えはないのだけど、ここを無視して何でもカルトカルトと騒いでると、面白いものを面白がれない、アタマでっかちになっちゃうのです。