マトリックス リローデッド

マトリックス リローデッド 特別版 [DVD]
吹き替え版
ウォシャウスキー兄弟
ワーナーマイカル熊谷)

吹き替え版にしたのは、ちょっと前にテレビでやっていた前作のハナシがわかりやすくて良かったんだけど、今回どーだろうか。喋りの情報が多すぎて却って疲れた気もするんだけど、字幕はどうだったのかしらん。あ、それから 『アニマトリックス』 の「セカンドルネッサンスPART1、PART2」を観ておいた方がお話はよくわかります。
ハッタリシナリオ命のウォシャウスキー兄弟としては、一本調子のシナリオでドラマが空中分解しすぎ。というか途中で気付いたんだけどこれってまったくのRPGの構造じゃん。しかも初期のドラクエ。でゲームバランス悪すぎ。話の核になっているメタファーは今回コンピュータの仕組みだし、理系じゃないとどうしてこんな展開になるのかわからないんじゃないの。大体アーキテクトなんてだしたら救世主とキャラがダブるからいらないし、あんなどこでもドアは陳腐過ぎ。フランス人とモニカ・ベルッチは何の為にいたのかもわからん(目の保養だから良いけどさ)。双子もなあ、何の役に立たないボバ・フェットのようだし。ザイオン猿の惑星スタートレックみたいだ。教えられて訊ねる相手がみんなマトリックスのことを知っているので、現実と仮想の境界の重みが無いし、みんな都合よく説明してくれて協力して案内してくれる。陶嬢人物の役割が最初から最後まで成長しないというのはイカンではないのか。前作にあった生きて元に戻れないんじゃないかというサスペンスがないんだよね。キアヌはカツアゲされた中学生のような格好で悩んでいるだけでアホ面過ぎ。その割りには意味深長にだらだらと説明された謎がすぐに理解できるのはなぜか?観ている観客としては預言者やアーキテクトの説明がわかったかというか納得した?よくわかんらなかったぞ。
そしていつの間にかキーパーソンになっているスミスは、隠し事が多すぎてなんだかわからん。なんでどこでも出てくるの。映画一本引っ張っても解けない謎というのはアリ?あれなら何百人のスミスがザイオンに入り込んで皆殺しにするPKディックみたいなシーンを作れば面白いのにねえ。というかザイオンのシーンって必要なの?(次作への引張りかな?)
あとヒーローものの禁じ手である、空を飛べるようになるのもねえ。すべてが台無しだよね。誰にも明確な弱点がないから「お前はただの人間だ」とネオに言っても説得力無いし、何人エージェント・スミスが出てこようと盛り上らない。香港クンフーアクションの通りなので、いつまでも決着が付かず最後にはいつも飛んで逃げるというのはどうよ。飛べるなら悩んでないでさっさとお前が全部やれと思うわな。
カーチェイスは撮影と編集が雑過ぎて、いつものジョエル・シルバー印になってしまった。まあ30才代の監督に求めるには酷だけどそれなら周りを固めないとねえ。アクションシーンは全部各アクション監督とコーディネーターにカット割りまでお任せなカンジがして骨がないんだよなあ。なんで前作のオープニングとかヘリでの奪還のようなスタイリッシュな編集できなかったのかなあ。
シナリオの無駄なお喋りしかも話と関係無いセリフのためのセリフは縮めないとダレルし映画が長くなりすぎ。あと彼らはまじめすぎてユーモアの欠如がシーンの展開を決定的に遅くしている。ザイオンのドンドコ祭りとセックスシーンのカットバックは、SWの暖炉のシーンに匹敵するぞ。
まあそれほど期待はしてなかったけど、『レボリューション』も撮影終っているんでしょ。うーん、なんかこのままでいくとさ、機械にも分があって、人間も機械が必要だという方に行っているので、人間にとっての勝利がなんなのか見えないんだけどさ。最 終作は夢オチなんてことにならないだろうな。
おまけに言うならこれがハリウッド・マクドナルド・ムービーじゃなかったらなんなのさ。品質を物量でカバーしているじゃん。それなりの価格ならバリュー感があるんじゃないかな?適正価格1200円くらいかな。