出発

出発 [DVD]
  le depart 67 イエジー・スコリモフスキー(渋谷パルコPART3)

 すべからく、青春映画というのは、恥ずかしいものだ。10年前に熱狂した映画を見直してどこが面白かったんだろう。ママゴトじゃんと見直して思う映画がある。それは30歳をはるかに越えた奴の遠吠えであって、20代の奴等は観なければならない。大人になって、この映画をオシャレとかいって売り込もうとする奴は信じるな。青春映画はだいたい情けなくて恥ずかしい幻影的なもの。それを自分の良い様に解釈して、秘かに楽しんでいれば良いんだ。
 ストーリーは美容院で働く、自動車ラリー狂のジャン=ピエール・レオが、何とかして金を工面して、ポルシェを借りてレースに出ようとするが、金がない。そこで出会った元モデルの娘と金を工面しようとしていろんな手を(詐欺紛いも含む)使う3日間のお伽噺。ほぼ、即興としかいいようがない演出と小気味よいカッティングで若いなあと思わせてくれる映画だ。個人的にはいくつかの幻想的な現実何だか夢何だかわからないシーンが突然挿入され、ビジュアル的に強烈なので物凄く印象に残ってしまうので好きだ。ラストの解釈もどう考えればいいのかなあ。
 しかし、99年に渋谷でスコリモフスキーが観られるなんてなんと贅沢な体験だ。『早春』はいつ再映されるのだろうか。
(角田)