映画が目にしみる
- 作者: 小林信彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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それでも『下妻物語』を“ケッ作”と一言で評するのはサスガの年期。
ニコール・キッドマン、メグ・ライアン、大塚寧々の映画が多く取り上げられているのは、著者が、おでこを出して鼻が上向きの女性が好きという性癖があるので仕方がない。
オールド・ファンとしては、つむじ曲がりのまま、半世紀近くのスタンスのブレの無さ、変わらなさがいいんだけどね。
映画の批評を書く若い人が、やれ小津だとか、清水宏だとかいうのは、一種のタイハイだと思っている。
映画は封切られた時代、環境を知らなくては論じられないもので、戦前・戦時は神格化され、戦後も時代の外にいて「晩春」「東京物語」ほかで(別扱い)され、やがて映画ジャーナリズムの中でフェイドアウトしていった小津の在り方がわからずに、あれこれ言っても仕方がない。
だから、批評家は同時代の映画を論じるべきだ、とつねに口にしている(後略)