剣魔

1965年 大映 三隅研次
原作がシバレン(柴田錬三郎)なので、ケレン味たっぷり。母が犬と交わって生まれた子として蔑まれてきた下級武士の斑平(市川雷蔵)。花の世話が好きで足が滅法速い。ある日出会った剣の達人から居合いを密かに教わる。その頃殿様(戸浦六宏)が乱心になり、幕府より偵察のためにお庭番が入ったとの情報が城内に広がる。家老(佐藤慶)の指示に従い、斑平は幕府の手先を片っ端から斬る。
話は暗いトーンだが、雷蔵の居合い抜きが凄まじく格好良い。ラストの大剣戟は長廻しワンカット、ピタリとフレームに収まるのはさすがです。
しかし内面が必要の無いはずの娯楽時代劇に、主人公の内面を無理矢理乗せようとすると破綻しますね。90分で描ききるには、キャラ設定が重過ぎて展開できていない活かしきれてない。そのあたりが一発アイディアの短篇っぽい。劇画調を狙ったのかも知れないが細部が埋まりきっていない。逆に劇画の世界でならば描けるのだろうか…。
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD21756/index.html