破風山

(627m) 埼玉県皆野町
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(4分16秒)
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本日快晴なれど風強し、なので近場の秩父に出掛ける。国道140号線から県道284号線に入り、昼前に日帰り温泉秩父温泉「満願の湯」に到着。結構賑わっている様子。そこの駐車場を抜けさらに奥に進むと、右手に町営の温泉施設「水と緑のふれあい館」がある。反対側の左手の坂を登りトイレもある無料駐車場にクルマを入れる。
今日は2時間くらいのハイキングコースなんで、ザックの中身も軽い。見上げると空には雲一つ無く、空気も乾燥している。日なたに立っているとぽかぽかというよりも、日差しがキツく灼るかと云うくらい。
道標が辺りに無いのでどちらに行けば良いかよくわからないが、駐車場を出てデイケア施設を右に見ながらとりあえず舗装道路を西に向かう。突き当たりのT字路を左に、クルマが通れる広さはあるが急坂だ。脇に沢の流れがあるのでたぶんこれでいいと思う。
すぐに植林された背の高いスギ林に入る。沢は冬枯れしてチョロチョロとした流れしかない。少し登ると陽の当たりの良い畑と人家があるところに出て、そこからはるか荒川を越えた向かいにある美の山がくっきりと見える。ここで下から来る登山道と合流。車道を歩かない近道があったようだ。古い変わった形の墓石が並ぶ墓地があり、向かいの奥にひっそりとある祠は八王子大権現だろうか。
さらに進むと水場があり、その上に4戸ほどが点在する風戸という集落へとくねくねと山道は続く。家は養蚕農家らしく二階と屋根裏が一緒になったような造りで、庭に大根が干してあったり、昔ながらの土蔵があったり風情がある。桑畑を迂回するように集落を抜けると、そこからが登山道になる。
すぐに石の祠があり、キツネが祭られているからお稲荷さんだろうか。近くに見事な樹が立っている。神木かな。踏みしめられた落ち葉の道をサクサクと音を立てて歩く。分岐には必ず道標が整備されているので迷うことは無い。やがて野巻方面との分岐を過ぎると尾根歩きとなる。と突然強風が吹き抜けるようになる。風はかなり冷たい。
木段を登るたびに少しずつ高度を上げると、面白いカタチの「猿岩」という岩場が見える。このあたりになると、枯れ木の間から北と南の両側の山がよく見えるようになって開放感がある。やがてかなりの広さの平地を過ぎるとその先に東屋がある。わんさか団体さんたちがおしゃべりしながら弁当を食べていた。ただしここは展望がない。
ここから200mほど行くと狭い頂上に到着する。南側が開け、正面には武甲山が迫り、眼下には秩父市街のパノラマが広がる。秩父が四方を山に囲まれた盆地だというのがよくわかる。
座るところもないので下山を開始する。急坂はすぐに終わり、なだらかな道になる。札立峠から秩父三十四カ所霊場めぐりの巡礼道に合流する。あまり陽の差さない北向きの道では、途中から沢が現われそこを何度か渡河していく。巨大な岩が頭上を覆い圧迫感がある。間伐された木々が斜面にゴロゴロしている。聖域の感じがするのはこちらの勝手な思い込みだろうか。
ある意味、山という彼岸から里という此岸に戻る地獄めぐり、浄化への旅で、寺の裏に出てくるという胎内めぐりなのだろうか。でも本によると秩父の札所めぐりは江戸時代に作られたブームという説があるので、あまり深読みしないほうが良いのかもしれない。
やがて、札所三十四番、水潜寺の裏手に出る。境内に上がり立派な本堂を見て、流れている長命水をいただく。
表参道を下ると県道に出る。てくてくと山里の鄙びた風景を楽しみながら1.5kmほど歩き、出発点の駐車場に戻る。
今日は短いコースだったけど、充実した山歩きが楽しめました。


<参考>皆野町観光協会 秩父盆地をながめるみち