庚申山

(栃木県日光市)map:x139.3605y36.6735
曇天でしたが、紅葉は見ごろ。

(5分15秒)
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7:30に家を出る。スッキリしない天気。旧大間々町(現みどり市>なんというネーミング!)を抜け日光へ向かう山道に入ると早い時間にもかかわらずクルマの数が増える。こちらは足尾の手前、銀山平で左折してさらに山へ進む。終点近くの国民宿舎かじか荘の駐車場は泊り客の車で満杯。そのまま直進して開けた平地の登山者用の駐車場に入れるが、すでに10台近く停まっている。
9:30。外は無風だが薄ら寒い。気温は10度くらいじゃないだろうか。昨晩は雨が降ったようで、しっとりとした空気。近くの山々には薄っすらとガスが掛かっている。
ゆっくりと舗装道路を進み車止めの脇をすり抜ける。しばらくいくと湧き水が出ているので、テルモス(水筒)の水を詰め替える。この辺りだと紅葉はちょっと早いのだろうか。紅葉の先端が色づく程度だ。
30分ほど登っていくと庚申渓谷でアマチュアカメラマンが景色を撮っている。ちょうど正面にところどころ色づいた山が姿を見せている。下に流れる渓流は見えないが、それをはさんでの距離感がちょうどいい感じです。渓流は水量が豊富で、ところどころ激流が落ち込んで滝になっているので、怒濤の如く音が雄大な鳴り響き山にこだまするのがなんとも耳に心地良い。この先からは未舗装道路。ふと脇を見ると新しい米と塩のお供えがあった。なんだろうか?
ぬかるみを避けながら、天狗の投石という自然石が積み重ねられた不思議な場所を過ぎる。庚申渓谷から約30分で、一の鳥居に着く。「庚申山秋まつり」という幟が見える。なんだ?鳥居を潜り、緩やかな苔むした参道を進む。
渓流の浅い流れが脇を流れる。この時期だと夏前とまったく違う風情だ。枯葉の晩秋とか積雪時もまたいいんだろうなと思う。このあたりは自然林でも雑木が多いので林の中を行くと、紅葉している感じがない。手軽なコースのためか、老若男女がクマ避けの鈴をチリンチリン…と鳴らしてはすれ違っていく。
いくつかの不思議な名前のついた巨石、奇石を見ながら高度を少しずつ上げる。
ようやく白い幹のカンバ(樺)やブナが見えてきた。ちょうど薄陽が差し込み、黄金色に輝く葉と青空、白い雲という秋らしい光景が見えた。
最後の階段を一登りすると猿田彦神社跡の広場、さらにそこから5分くらいで庚申山荘にたどり着く。数組の団体が来ていて騒がしいかなと思ったが、みんな立ち去るところだった。山荘の背後には庚申山の勇壮な岩山が迫っている。しかしすぐにガスに隠れる。この間はあれを登ったんだよなと感慨深し。
時間は12:30近い。奇岩を巡るお山めぐりはここからアップダウンで2時間近くかかるので断念する。うーむどうも時間のやりくりがよくない。次回はここに泊まって歩くことにしようか。水もトイレも完備されているし。
と考えていると山荘の中から白装束の山伏が現れ、突然ほら貝をぶぉお〜ぉぉと吹いた。あまりのことに唖然とする。これは庚申秋まつりの一環であったようだ。幟を仕舞い役場の人と一緒に下山して行った。
ひと気が無くなったので、鍵の掛かっていない山荘の中を覗く。2階建てで広い。談話室に賽銭箱があり猿田彦が祀られていた。ここが奥社になるのかなあ。
座っていても寒いので、15分でたどり着くという天下見晴らし台に行ってみることにする。なだらかな道を行くといつの間にか針葉樹に植生が変わり、見事に黄色に紅葉してすらりと整列した木々の姿に映えて美しい。こういう紅葉が見たかったんだよと感激する。たぶんこのあたりが一番冷気に晒されるから早く色づくのではないだろうか。こんなのはじめてみた。
さらに見晴台の分岐を尾根の出っ張りへと進む。さいごにちょっとした鎖場を登ると見晴台だ。
道標の横にザックを置き、岩を3メートルほど回り込んで登ると360度の眺望、大パノラマが拡がる。いままで林の中にいて見えなかった山の全貌が立体的に迫ってくる。その圧倒的な色合いにびっくりして思わず感嘆の声があがる。本格的な紅葉はまだ今いるところよりも高いところなので、下りてくるまでもう少しかなというのまで見て取れる。晴天だったらほんとうに天晴れだ。いつまでも経っても見飽きない。
そのうちに遠くでシカの鳴き声が聞こえる。14時、けものの時間までもう少しだ。
すっかりいい気分になって、ゆっくりと下山する。山荘を過ぎてしばらく行くと、目の前200メートル先を左から右へ横切る黒い物体が…。ひええぇ!!
あれ、でも今回はそれほど大きくないし、歩き方がヘンだぞ。ああニホンザルでした。しかもぞろぞろと何匹も歩いている。ちょっとこっちを気にしたが、そのあとはこちらを無視して歩いている。
あとから来た夫婦の登山者に教えると「ああサルですか」と先に下りて行った。、あれって平気で群れに近づいて行くのだよね。動物園じゃないんだからさ、もしやつらが気が変わって襲ってきたらどうするつもりなんだろうかと思った。そういう感覚は無いのだろうか?
しばらくジッとしていてサルの行進を眺めていると背後の上方から、ヴォぐぉおるるるる…という声が。いつの間にか背後に回られて威嚇されていた。ほうほうの態で逃げる。でも威厳を持って撤退しないとなめられるからな、などと思ったりもする。みんな日光あたりから来るのかな。
一の鳥居の手前を右に入ると庚申七滝。どどどっと水が流れ落ちる景色を目の前で見られる。ここでもカメラマンが数人。滝と紅葉は画になるもんね。ひとりはライカでコケを撮影していたよ。
長い下りを歩きながら、紅葉の落ち葉を探す。なかなかイイのはない。赤、黄、茶、緑と色違いを集める。食卓に飾るのも一興。
16:30駐車場に戻る。少し夕陽が出てきてまた朝とは違う光が山を染め照らしていた。