忍者狩り

ryotsunoda2006-06-19



1964年。
大傑作です。観終わったあと、ぼうぜんとして暫く動けなかった。
山内鉄也監督の第一作。デビュー作でいきなりこのような呪われた作品を、どうしたら作りあげることができるのだろうか。徳川家光の時代、豊臣の恩を受けた外様大名は、口実を見つけては次々と潰されようとしていた。その裏では忍者の暗躍があった。蒲生藩では、当主が病床に伏せりあとわずかの命。幼い子どもの相続が認められたが、正式な幕府の使者が来るまで、藩内に騒動を起こしてはならない。そのためにかつて幕府の忍者「闇の蔵人」によって、藩を潰された浪人四人が雇われ、忍者と死闘を繰り広げる。
モノクロ、東映スコープなのに、閉所恐怖症になりそうな閉塞感。セットをなるべく狭く撮ろうとしてキャメラを置いている気がする。全部ネタバレになるので書けないが、最後にああいうセットを作るとはびっくりした。あそこに、より光と影と沈黙とを要求するのは、新人監督には酷だろうか。
近衛十四郎の鬼気迫る殺陣。忍者を探すあのシーンでの望遠レンズによる縦構図の美しさは尋常じゃない。思わず、見てはいけないものを見てしまった気にさせる。
集団抗争時代劇が、それまでの明朗時代劇を読み解きなおしたもの、あるいはアンチテーゼとしたら、任侠モノのアンチテーゼが、実録モノだったわけだろう。どちらにせよ、個人から集団へ移り、建前から本音と、よりリアルになったことで、どちらも長く続くシリーズにならなかったのは面白い。
余計なものを削ぎ落としたから、あのスピード感と緊張感は出るのだろうな。
仮面の忍者赤影』はまだ観てないんです。やべえな見ないと