香港への道

香港への道 (リュミエール叢書35)

香港への道 (リュミエール叢書35)


ようやく出ましたかという感想と、それにしては変わってないなという印象。でも雑誌掲載から15年くらい経つのだから、一度も読んでいない人には痛快なことは間違いないでしょう。個人的には新東宝時代の撮影技師と助手の系譜が面白かった。
香港映画(中国語圏)について、いつもの彼らの本の造りのような概論がきちんと付記されていればもっと立体的になったのにね。即席の注釈部分が興を削ぐなんだろうねあれは?撮影技術を通じての映画史なのに、なんで技術史の説明はあんなものなのかなあ、いつも思う。あれくらいの説明で照明とレンズ、フィルムなどの天然色映画黎明期の苦労や問題がわかるのでしょうか?
それにしても井上梅次のインタビュー本とか出ないかなあ。まだ時代の要請がそこまで追いついていないのだろう。
「芸術=カルトだからイイ」という歪んだ昨今の映画回顧鑑賞事情では、明確職人歌謡監督の入る余地は無いのだろうね。裏話は滅茶苦茶面白そうだけども、難しいのかな。
まあこの本も映画祭に便乗してようやく出せましたという感じがするのだけども。