死ぬことと見つけたり

死ぬことと見つけたり(下) (新潮文庫)

死ぬことと見つけたり(下) (新潮文庫)


葉隠」の佐賀の鍋島藩士の話。
あまりに有名な「武士道とは死ぬことと見つけたり」を解釈していくと、根底にあるアナーキーな部分、「どうなろうと最後にハラ斬って死んじゃえばいいじゃん」という部分にたどり着く。
それを徹底的に死臭のするエンターテインメントに作り上げた独創性に戦慄する。それが残酷じゃなくて、あっけらかんという明るい作品になるのが不思議だよなぁ。
魅力的すぎる死への恍惚の誘惑をこんな形で読まされちゃあ、いかれちゃうよ。
否定しようにも否定できない日本人の心性にあるカミカゼ、ハラキリという、死んですべてをチャラにする精神をあっけらかんと描いているのがすごい。
最後のすべてを賭けてでもなく諦めの自棄でもなく、「では、死ぬか」と日常の選択肢のひとつとして、死とともに生きているところが、なんというか説明できないけど、アッというところだなあ。それが彼岸ということなのか?
たぶん「葉隠」も読んじゃうよな。