女と三悪人

女と三悪人 [VHS]
(1962) 監督・脚本:井上梅次
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD20596/index.html
ほぅ豪華なキャスティング。市川雷蔵勝新太郎大木実山本富士子中村玉緒。江戸のにぎわいのエキストラも百人単位だし、セットも豪華でたくさんあるし、カネかかっています。
井上梅次、このころものすごい数撮っていますね。この年6本だよ、びっくり。それでいて全然手を抜いていないというか上手いねえ。セットなども充分に使いこなしているし、全体をきれいに映えるように写している。映画の豪華さがわかっているし、サービス精神に溢れていますね。
話は歌舞伎の「三人吉三」をベースにしているようで、山本富士子の芝居小屋の女座長に、風来坊の元役者の雷蔵、破戒坊主の新太郎、凄腕浪人の実が惚れて、そこに玉緒が絡んで三角四角関係と恋のさや当てと殺人贋金事件と次々起こり、スピーディに展開していく。
ムダが無いというより、全編豪華にムダだらけでお腹いっぱいになる。山本富士子の艶っぽさがイイ。ラブシーンはたっぷりとアップになるし、モブシーンの描き方、三枚目キャラクターたちの使い分けもうまいねえ。
井上梅次って、ストレートな事件のストーリーにさ、バックステージものを絡めて、そこに三角関係をふたつくらい絡め、次々に転がしていく話を多く作っている気がするが、どうかしらん。
なんか裏側からきらびやかな世界を覗き、そこに関わる人間を描くというのが多い気がするけど(このあたりドタ勘で書いてますが)。あと三角関係が簡単に主人公の足を引っ張るベタさ。主人公の犠牲となる身代わり、早代わりの悲哀とケレンが盛り上げ、コメディリリーフまたは捕り手の内容をうまく説明するシーンをていねいに入れる。
それらをすべて粋で解決していく鮮やかさが娯楽の王道だね。まったく中華幕の内弁当の美味しさのような気がしますね。