死のクレパス アンデス氷壁の遭難

死のクレバス―アンデス氷壁の遭難 (岩波現代文庫)

死のクレバス―アンデス氷壁の遭難 (岩波現代文庫)

映画『運命を分けたザイル』の原作。観る前に読んじゃった。登山用具の専門用語がよくわからなかったので、映画館で確認しよう。
なんか凄まじい極限状態の描写が続き息苦しくなる。でも感心のない人が読んだら、たぶんああ大変だったねという印象で終わっちゃうんじゃないかな。
というのも山ってどんなに吹雪いたりしても、ちょっと下界に下りちゃえば、何事も無かったような天気になったりするじゃん。海ならなんにもない太平洋のまんなかを漂流すると言えばはゲッとなるだろうけど、目の前の見慣れた山なのにわずか麓から数キロ先で生死を分けるようなことが起きているなんて、普通は想像すらできないものだよね。
人跡未踏の登頂の模様の描き方もドキドキするけども、やはり人間心理の揺れ動き、特に遭難した後、疲労、怪我、寒さが限界を越えた中で、肉体と精神がどうなっていくのかが克明に描かれているところが圧巻。
人間の持つ潜在能力というのはすごいなあとつくづく感じる。生にしがみつく執念が、ほとんど本能と化して出来るはずのないことをやり遂げてしまうのは、感動を越えなんと言葉にしてよいのかわからない。
映画だとそのあたりは描けるのかな。
今後の山登りの参考に…ならないよなあ。