主水之介三番勝負

主水之介三番勝負 [VHS]
1965年 山内鉄也
途中から観たのだけど、モダンでシャープな切れ味鋭い娯楽作品で驚く。血みどろの殺し合い、果し合い。ズームの多用。音楽はオーケストラではなく小編成のバンド。テレビといえばそういえるのだけど、そこは撮影所の底力、若い監督の思いをきちんと面白がってノッて具現化しているので観ていてもっとやれーと声援したくなるほど心地よい。
山内鉄也30歳のデビュー作『忍者狩り』が傑作だというが観る機会がなく残念。脚本が上記の高田宏治だ。必ずそのうちに特集が組まれる監督だと思う。
観ていて感じたのだけど、この1965年(昭和40年)あたりからフィルムか機材が変わったのではないかと思う。引き締まった黒が出るようになった。それゆえに暗部が強調される暗い殺伐としたトーンの画が多くなった。スキントーン(肌の色ね)も、それまでの白塗りてかてかから、茶色の陽に灼けた顔色に変わった。
要するにフィルムかレンズの感度が上がったので、キャメラで露出の絞込みが出来るようになったのだと思うが、結果それが美学的に(経済効率ではなく)よかったのかどうかはわからない(加藤泰をはじめとする仁侠映画のリアルなトーンがもてはやされた一時代が来たのだから)。