伊豆が岳

金曜日、東京都桧原村に電話した。奥多摩周遊道路あたりで雪が降って60センチくらい積もっているらしい。
あっさり奥多摩方面は挫折して、近辺で残された、伊豆が岳周遊コースに行くことにする。
http://www.seibu-group.co.jp/railways/eisui/hiking/shoumaru/

8時30分発。西武秩父線正丸駅に10時30分。駅構内にある駐車場500円也。ここから歩き出す。天気は晴れだが、北斜面には陽が差し込んでいないので少し肌寒い。舗装道路を進むと雪は道の端に溶けかかっている程度だ。左手の沢では凍った箇所がつららになっている。
やがて登山道に入るも10人ほどの団体さんに行く手を塞がれる。幸いなことにベテランの引率者が道を開けるように言ってくれたので助かる。
なだらかな山道が沢に別れを告げる頃から、大きな岩をよじ登るようにして進む急坂に変わる。徐々に高度を上げるとあったあった雪があった。完全に根雪になっていて溶けそうもないし、踏み跡も凍って滑る。積雪量推定20センチ。なるべくだれも踏んでいないところを選んで登る。道は山の斜面から尾根沿いに変わるとさらに傾斜が急で、かろうじて露出した根っこや枝に捕まりながら行く。
一息ついて、コーヒーを飲む。手元が滑りステンレスの水筒が転がり落ちて、弾みがついたままどこまでも行ってやがて視界から消える。このあいだの再現か。幸い登山道を転がったので来た道をそろそろと下りて、魔法瓶を無事に救出する。
難儀せずともじつは軽アイゼンをようやく買ったので今日はこれを試すはずだった。しかしここでは足場が悪いし、抜かした団体に必死にアイゼンを付けているのを横目で見られるのも格好悪い。そこで思い出したのが、履いているトレッキングシューズ。これにはかかとの部分にオマケのような滑り止めの鉄具がついていて、ちょうつがいで引き出せるようになっているのだ。早速試してみる。上手い具合に引っかかって滑らない。結構使える。面白いようにすいすいと進む。
やがて本線の登山道と合流する。以前登ったときに通った鎖場の前だ。ここで50歳くらいの男性と会う。彼はまったくアイゼンなどを用意してこなかったようで、他のベテランらしき人に脅されていた。彼とはそのあと到着地まで着かず離れずで歩くことになる。それにしても完全装備組からハイキングの続きのような格好まで様々だった。
休憩後、もう少し雪の登りをゆっくりと行き、12時に伊豆が岳山頂に着く。360度の展望があるが遠くまでは視界がなく残念。人も多いのでせわしない。さっさと野菜タマゴサンドとカレーパンを食べて、さりげなく軽アイゼンを付けて出発。
いきなり急な坂で下りづらいが、ロープを伝わりながら行く。南斜面はまったく雪がなく、土がむき出した。それでも北斜面の登りでは雪があったので、一気に登る。軽アイゼンは偉大だ。ただ雪もこのあたりまでであとはほとんど無し。すぐにアイゼンは仕舞うハメになる。
ここらからアップダウンが激しいとガイドブックにはあったが、それどころじゃなく小山をいくつも上り下りしていることに気づく。徐々にボディブローのように効いてくる。
県道が交差する天目指峠を越えると今までより激しい上り下りが立て続けに5山くらい来てさすがにヘバる。しかもまた右ひざが痛くなったのでサポーターをする。ここ数週間右足の筋肉を鍛えていたのだけど、まだまだ筋力が足りないようだ。
15時頃子ノ権現という足腰にご利益があるという古刹に着く。簡単に見学をするが新築した建物の部分が白ける。911年の建立ということだけど面影も無い。門前の杉の巨木がすごく直径3メートル以上はある。売店でお土産にイナゴの佃煮を買う、630円。
参道の舗装道路を数百メートル下りまた杉林の登山道に入る。ここは道が広く歩きやすく雰囲気もなかなか良い。考えごとをしながら歩くことしばし、ようやく里に出る。ダラダラと里の景色を見ながら、やがてぶつかった国道を歩き、16時西吾野駅に着く。5時間30分くらい。意外とかかったし草臥れた。

ひとりで歩くのも変化が無いし飽きるね。かといってこの季節から誰かを誘うというのも気が引ける。春なら良いかもしれないけどさ。低山でもその地元の街歩き食べ歩きを含めた楽しみを考えてみるかな。
沼津アルプスというのがあって冬でも良いらしい。沼津港には美味しい天麩羅と刺身の店があったな。いまはサクラエビの季節だし。うーむちょっと調べてみよう。