ワイルダーならどうする? ビリー・ワイルダーとキャメロン・クロウの対話

ワイルダーならどうする?―ビリー・ワイルダーとキャメロン・クロウの対話

ワイルダーならどうする?―ビリー・ワイルダーとキャメロン・クロウの対話

映画監督キャメロン・クロウが晩年のワイルダーにインタビューをしたもの。ほぼ初めての肉声が聞け、彼らしい警句が満載されていて思わずにんまりしてしまう。いろんな時代に飛びながら確たるテーマ やクロニクルで編纂されているわけではないが、お喋り感覚が良いです。本人もこれが最後のインタビューだと考えていたようで、鋭い本音が随所にあるように思える。マリリン・モンローとオードリ・ヘップ バーンの捉え方も感心させられる。
『情婦』の撮影の時、リハーサルにチャールズ・ロートンがやってきて、シーンを20通りの演じ方をしてみせて、これとこれを組み合わせたやり方でというと、翌日さらに21番目の演じ方を見つけたといって、昨 日の分と組み合わせて完璧に演じたというのを読んで驚いた。さらにインタビューアーが「ロートンの目だけにきちんと照明が当たってますね」というと「照明をあてたんじゃない。彼が当たるように動いたんだ」と語る。さすが 『夜の狩人』の監督だ。
キネマ旬報の本はいつも高く割りには編集のセンスが悪く、付属資料や写真がひどいのが難点だ。