ズーランダー

ヴィデオ、日本語版吹き替えにて。オマケの特典映像、主役のファッション・モデル、ズーランダーについてのフェイクドキュメントをテレ東の「流行通信」チックに遊んでいるのが面白かった、以上。
…では芸が無いですのでちょっと書くと、男性スーパーモデル、デレク・ズーランダーが、黒いファッション業界の利益のために、子供たちを廉価な下請け労働から守ることを公約に掲げたマレーシアの首相を暗殺するように洗脳される。モデルは殺し屋としては最高なのだ、なぜなら彼らは有名人に近づきやすいし、言われた通りにしか動かない、もっとも重要なことは彼らは何も考えないバカだということだ。
というアイディアはちょっと惹かれるでしょ。でもさあまりにゆるゆるで泣けてきたよ。全然笑えないの、(悪のファッションデザイナーの前歴はちょっと笑えたが)、ホントこんなんで良いの?とゆーかさ、これはApple社の予告編サイトに死ぬほど転がっている、日本では絶対に公開されない類のアメリカの典型的なファミリー向けコメディじゃん。素晴らしく、登場人物たちが状況と展開を全部説明してくれるので予想が付きすぎて笑うタイミングもない。しかもこんなオイシイ状況なのに下ネタもホモネタもないのだ!まあアメリカ人ならこれで良いのかもしれんかもなあ(註:差別発言)。
思うんだけど、さいきんの米国製喜劇って、主役が格好良く知恵遅れ的幼稚な設定(だけど正義感あふれるイイ奴で純情なので最後にはすべてうまく行く)、敵は単なる間抜け、という構図が多い気がするんだけど。つまんないビートたけしのギャグにお愛想笑いするたけし軍団のようで気持ち悪い。コメディの主役は、バカで子供のように邪悪で破壊的じゃないとアカンのよ。お子さまの一面しか捉えてない偽善的なキャラばかりでさ、しかも自分は全くカラダを張らないし、芸を見せない(持っていない)とんねるずのようなもんだ。客に「バカだねえこいつは」と笑わせるんじゃなくて、「おバカやってるんだわ!笑わなくちゃ損よ」と笑わせてもらうんだというフザケタ価値観を植え付けた奴は誰だ!
どさくさまぎれに書くけども80年代音楽の使い方も最悪、面白くも何ともない。好きで使っているのかバカにして使っているのかさっぱりわからない。ジョルジオ・モロダーシンセサイザーサウンドの千本ノックを受けて来い!