ウインド・トーカーズ

ウインドトーカーズ [DVD]
DVD。
おもしろいです。公開当時は反戦厭戦ムードでなんとなく観に行かなかったけど、まぎれもなくジョン・ウー映画。戦闘機も戦艦もCGなのだけど、派手な爆発、血まみれのバイオレンス、M4カービン・ライフル銃でなくM1トンプソン・サブマシンガンコルト・ガバメントでやたら撃ちまくる格好良さ、まさにジョン・ウー印が満載です。
最近の戦争映画では久しぶりに、小隊のメンバーの顔と性格が描き分けられているのを見たよ。ってレベルの低いハナシですね。出撃前のポーカーの試合のシーン、わずか5分ほどの尺だけでさらりとやってのけるところが頼もしい。シナリオはあまり分かり易くなくメリハリが無いです。それに手を入れ、演出でドラマチックさを失わないように持ってきたのは大したものです。登場人物たちの葛藤と友情、対立と和解、そして次の対立という古典的なドラマツルギーがすこしも古くなっていないことを改めて証明してくれます。
『MI:2』が無かったことにすれば、ジョン・ウー健在です。戦闘シーンの丹念なカット割りはいつも通りの職人芸ですが、他のシーンは時間が足りなかったのでしょうか、ちょっと急ぎ足で撮っている感があります。距離の離れた場所のカットバックがいまひとつピンとこないのですね。なので戦争映画に欠かせないスケール感がでてこないのです。
撮影は、黒味を強調してカラーを派手にして艶を落とし画面をざらつかせる、当時のカラー記録映像を巧みに再現しています。『プライベート・ライアン』のただキタナく彩度を落としただけの映像とはひと味違います。
クリスチャン・スレーターは儲け者のオイシイ役です。ニコラス・ケイジの人物設定は難しすぎるねえ。演じられる人はそういないだろうね、説得力をもってよくやったと思うよ。『PayCheck』はちゃんと劇場に行きます。