チェチェン・ウォー

チェチェン・ウォー [DVD]
TSUTAYA100円デーなので。
すごく渋い映画だった。こういうのがいま観たかったのですよ。派手さの欠片もない戦争アクション映画
チェチェン紛争で捕虜となったシベリア出身の若い軍曹と人質になった男女のイギリス人。
身代金を作るために女を残して、彼らは解放されるが、政府の非協力となかなかカネは集まらずに日にちが過ぎ、最後は二人だけで完全武装で敵陣に乗り込んで行くという話。
淡々としてモンタージュも音楽もまったく誇張もなくひたすらエピソードで進んでいく。そのひとつひとつがリアルなのかはわからないが、まったく観たことがない話なのは確かだ。いくらでも誇張して派手に描けるのに確信的にそうしていない。
チェチェン人ゲリラのクルマを襲撃するシーンの暴力の度合いはものすごくキツい。あと捕らえた地元の羊飼いを殴打するシーンなども。描き方のエグさでいえば、ハリウッド製のほうが派手だけど、それとも違う怖さがある。ただただ描かれているんだけど緊迫感が溢れている。なんでしょうなあ。様式美や映画なんだからという検閲コードからはみ出ている恐ろしさなのかな。いや、海外配信ニュースで見られる眼を背けたくなる事実の映像のような感じだ。最初から最後まで非情なシーンだけで出来ていて、だれも英雄然とした行為は取らないし、打算的だし、何の救いもない。ただ殺伐としている。
テッド・ポストの『戦場』とか、あの辺りの暗さといえばお分かりいただけるか。
個人的には、攻撃ヘリMi-24ハインドが何機も低空飛行したり、曳光弾の描写や手榴弾爆破のリアルさとかが豪勢で良かった。
監督がずっと観たくてしかたがないロシア版『仁義なき戦い』らしい『ロシアン・ブラザー』の人だと見終わって調べたらわかりました。あと『フリークスも人間も』。
未公開ビデオ・スルーにはもったいない。ロシアでは大ヒット作らしい。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=241253
もっと非ハリウッドの娯楽映画を観る機会が増えないだろうか、それも外国人向けの映画祭用映画じゃなくてさ。きっと面白い作品がまだまだあると思うのだけど…。