プレイグランド

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すげぇオモシロ過ぎる。なんの情報も持たずに読み始めたんだけど一気に読んでしまった。いやあ満腹です。久々にエライものを読んだ。
冷戦時の東西ドイツを舞台にしたスパイスリラー。1970年代の西ドイツに、公式には存在しないことになっている対東ドイツ工作部隊があった。GSG9(対テロ特殊部隊)とは違い、破壊、暗殺、亡命援助なんでもあり、選ばれた9人は「エリートコマンド・オスト」と呼ばれた。ベトナム戦争後の世界、デタント(緊張緩和)の空気の中で、汚い戦争をする彼らは、いわば国家公認のテロリストなのだ。
まずメンバーが集まってくるところからグッと引き込まれる。それぞれが射撃、空手、ロシア語、爆発物などのエキスパートで、出身も資産家の息子から孤児までとばらばらだ。皆が陸軍から秘密裏に選抜されアメリカで特訓を受けて任務につくことになる。上司にはアルコール依存症の偏屈者だが切れ者のクラウゼ大佐。武器庫の番人でその手の話ならいつまでも話しつづけるヴァルター老人。この個性豊かな登場人物が、生死を分かち合う戦友として男臭い友情の世界を通じてきちんと描かれている。モロ「ワイルドセブン」の世界だよ。
ストーリー展開も次から次へと事件が起こって、ハードアクションが最後まで高いテンションで続く。ディテールの圧倒的な描写もすごい。計画の立案の詳細な様子から、プラスティック爆弾の仕掛け方、国境線の監視の目をかい潜り地雷原を突破するところを延々と描いている部分にはこちらがへとへとになるくらいの濃密さがある。大傑作です。大味なJ・C・ポロックでは不満足な貴方にぜひお薦め。
あ、言い忘れましたが、これは一応ノンフィクションなんですわ、本当にあったことと思うと戦慄度二倍増し間違いなし。