師匠!

「師匠!」

「師匠!」

作者の本性はかれの師匠、談志の「落語とは男と女の業を描くもの」という考え方の延長にあるような気がして仕方がない。無理難題を吹っかけた口うるさい嫌な相手が実は好人物で、最後にはほろっと泣かす古典落語の構図が横溢している。
 障害者落語一座を結成する話なんてものもその最たるものだ。いくつかの短編がすべて独自の世界を作っていて古典を使いながら、いまも通用する人物造型をしている ところが作者の目線だと言えよう。