裏と表

裏と表 (幻冬舎文庫)

裏と表 (幻冬舎文庫)

神保町で金券ショップを開く主人公。その友人で運輸会社に勤める男は、金券ショップをたらい回ししたハイウェイ・カードを使ったマネー・ロンダリングで選挙資金を集めようとする。
そしてカネがカネを呼び、計画倒産、手形決済、ダイアモンド相場と闇の紳士がぞろぞろと現れる。何十億のカネが右から左に流れる。決してオモテには出てこない世界。そんな世界が覗ける。いかにしてカネをつくるのか。錬金術としか言えないその仕組みのスリリングさ。手口が具体的な記述で書かれているので驚く。
実際のバブルの仕組みもそうであっただろうという裏のカネの仕組みが透けて見える。キャラクターやストーリーも徹底して読み物を目指しているので、社会派ミステリーのようないやらしさがない。