フルーツの夜

フルーツの夜

フルーツの夜

彼自身の体験した、バブルと裏本AV業界のノンフィクションは面白かった。それを今度は小説として仕立て上げたのが本書だが、いくつかの不可思議なそれこそバブル前は存在すら信じられないような風俗や人物が出てきて面白い。しかしその先への目線がはっきりしない。ノンフィクションでは客観的な立場で良いが小説では主人公としては影が薄すぎてストーリーもそれほど展開していかない。中篇と言う制約もあるのだと思うが、 ある世代の感傷と素材だけで成立しているような気がした。