ゾンビコップ

 DEAD HEAT88マーク・ゴールドブラット(ヴィデオ)

ヴィデオ・バブル期には、思いがけないおもしろい映画が転がっていたりする。スティーブ・カーバーの『テキサス SWAT』(83)。デニス・ホッパー『アウト・オブ・ブルー』(80)。ジャック・ショルダー『ヒドゥン』(87)、フレッド・デッカー『ドラキュ リアン』(87)。
ちょうどコーエン兄弟サム・ライミが認められる前後の微妙な時期、きつい予算でありながらきちんとした安定した作 品を作るチームをよく観ると ロジャー・コーマン の名前がやはり出てくる。AIPの活動に続き、NEWWORLDというヴィデ オ市場中心の会社をはじめる。確か後に経営から手を引いたはずで、その後NEWWORLDも潰れたと思うが。
その会社からリリースされたのが本作だ。監督はこの作品の前に、ポール・ヴァーホーヴェンのハリウッドデビュー 作の『ロボコップ』の第二班監督 を務めている。この作品の執拗な銃撃戦はその影響があるのではないか。 ロジャー・コ ーマンらしい「もし刑事が死んでゾンビになったらどうか」というアイディアを手堅く撮っているとともに、二人組刑事もの の定番の軽いセリフの応酬などを押さえ90分にまとめる手腕はまだB級映画の法則が生きている時代のものだ。
特別出演のヴィンセント・プライスも自らのコーマン演出の作品がテレビで放映されていたり、その出演の扱いがピ ーター・ボグダノヴィッチの処女作『殺人者はライフルを持っていた』のようであり、わかる人にはわかる軽い遊びが入っ ている。この手の作品が消滅してしまって悲しいのは私だけだろうか。(jkさん、お薦め多謝)
(角田)