サテリコン

  SATYRICON 69 フェデリコ・フェリーニ(LD)

 フェリーニは「道」と「カビリアの夜」しか観た事が無いとカミング・アウトした所、強く非難されたので、態度を改めるべく近所のレコード屋で叩き売りのLDをゲット。
 帝政ローマ時代の英雄譚。それでも珍しい土産話と戦利品の小物を持って生きて帰れば充分だった時代。少々悪趣味で泥臭いけれど奇妙な開放感がある映画だった。
 絢爛豪華なローマの描写は結構当たり前。楽しみで人を殺す奴なんて今でもたくさん居るし、飽食や性の淫蕩な描写もおおらかな物。微笑ましくて好感を持った。
 それよりマーチン・ポッターを初めとした薄絹を身に纏っただけの美丈夫達を観て楽しむ肉市場映画として大変有効。主演の若者達は殆ど腰巻き一丁で逃げ回ってばかっかりで格好悪いけど、若さと美貌の御陰で醜悪にならずに笑える。恋の鞘当ての元となる伝説の美少年ジトーネ(一部ギトン表記)は、写真よりやはり動いている姿が可愛らしい。寿命が短そうなぽっちゃり型で食べてしまいたい。両性具有の白子である「神の子」は、乳房がばればれの作り物でちょっと興醒めだが、やはり危険な香りの美がある。自殺した貴族の家に残った黒人美少女も良い。それぞれ「あ、もっと観たい」と思わせる押えた露出度は御見事であった。もっとみせろ。
 これらの腰巻き軍団は、当然と言えば当然だが、一部の女優さんを除いてその後のフィルモグラフィーに恵まれていないようだ。やはり肉は古くなっては駄目ですね。
 音楽はバリ島の音楽が効果的に使われていた。ちょっと安易な点も有ったが、ポッターと牛頭の怪人が闘うシーンで使用されていたケチャは秀逸。
 (森山)