ゴダールのリア王

 KING LEAR  87ジャン・リュック・ゴダール三百人劇場

 ゴダールの1987年作品です。当初は確か89年公開予定だったハズですが、永らくビデオのみのリリースだった問題作の登場です。
 80年代以降のゴダール作品のほとんどがそうですが、ストーリーを語ることはほとんど意味がありません。リア王もコーディリアもシェークスピアの末裔も登場するので、過不足はないでしょう。相変わらず美しい「ゴダール的」迷宮映画です。
 ドルビー・ステレオというオモチャを手に入れたこの映画の凄い所はやはり、音と映像と言葉の交錯する瞬間です。まさにかつてない新鮮な「映画的」体験が得られます。本当にゴダールというヒトは永遠に「恐るべき子供」です。ちなみに劇中では映画を発明する教授役をゴダールがドレッド・ヘアーで怪演。その教授の助手が、これまた「恐るべき子供」レオス・カラックス(「汚れた血」の監督。新作「ポーラX」も99年公開予定)が寡黙に演じてます。
 「右側に気をつけろ」とほぼ同時期の作品なので、見比べてみるとこの当時のゴダールの音と光と言葉のメディア・ミックス的戦略を窺い知ることが出来るかもしれません。
タイタニック」を好きだというヒトには是非みてもらいたいものです。たぶん、寝てしまうことになるでしょうが、とても心地好く眠れるはずですから…
(船越)

追伸:「ムトゥ踊るマハラジャ」のコメントについては、是非「みんなくれぐれも自分で本当に面白いと思ったところでだけ笑うなり拍手するようにしましょう」という一文を載せて欲しい(^^;