クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦

映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 [DVD]
02 原恵一 (ワーナーマイカル熊谷)

前作は掛け値なしの大傑作だったけど、今回はまた難しいモノ作ったね。曰く「クレしんでやる必要があるのか」「アニ メでこんな作品を作って良いのか」。
答えは、監督の意図に乗るか、乗らないかの二通りあって、それぞれ正解だと思う。アニメ・ヲタクの、「ここはいい けどあれはダメ」という部分的な賛成を封印しているのだ。まるごと好きか嫌いかしかない踏み絵のような映画。その意 味では前作を引き継いでいるともいえよう。非常に個人的な映画でありながら、その佇まいとアピール先は大衆向けの 形式を取っている。そのバランスの取り方が 名人芸に近くなってきているんじゃないだろうか。
監督が、こう思わせたい作品世界を実現するのに要する、映画内時間やファンタジーを感じさせる仕掛けが実に上手 い。眼を閉じるだけで念じるだけでタイムスリップするなんて、 恐くて普通は考えてもできない。それを難なく演出して しまう力に恐れ入った。戦国時代の合戦の細かい描写などこだわりの世界感によってさらに内容が厚みを持つ。
当時の倫理感の葛藤を物語の軸に据えながら実にあっさりと進む。アニメーションのシナリオの感情を描き込まない でもいいという、大雑把さを逆手に取って、物語を大胆に進める確信犯的な作業。アニメーションの世界ではものすごい 完成度だと思う。
だから、それに同意して楽しむかどうかで評価は分かれるんじゃないだろうか。お約束ごとを見事にクリアしているけ ど突っ込むところもたくさんあるということです。そりゃ、アニメだモン。
けど、おらはしんちゃんが活躍する、おバカ・アクションがもっと観たいぞお。
(角田)