香港 小心地滑日記

【7/17(火)第3日】電影めぐりと5000ドルの夜景。筆談注文十番勝負

 今日も天気はいまひとつパッとしない。毎回、地下鉄に乗るのも通勤みたいで旅行の感じがしないので、バスで繁華街まで出ることにする。バスに乗り込もうとオクトパスカードをかざすとブザーが鳴る。運転手にダメとサインを出される。いつの間にか使いきっていたのだ。駅に引き返して、カードを足しふたたびバスに乗る。オノボリさんは2階の一番前に乗る。車内に液晶モニタが搭載されて、焼き鳥のタレのようなCMが流れていた。バスは市内を抜けいったんバイパスへ出る。ここを飛ばす。車線変更のウインカーを出さない。そういえば、こちらの車はみんなきれいだ。きちんと洗車してあるし、へこんだような営業車もほとんどみない。車は高価なものなのだろうか。あと東南アジアでよく見るバイクも走ってないし、自転車も皆無だ。交通機関が発達しているから必要ないのだろうか。  (下)バスからの風景とバス停
     

 


 走ること30分。油麻地に着く。ここで地下鉄に乗り換え灣仔に向かう。駅から出て2階の廊下を歩くこと15分で目的のレストラン、新光酒楼に着く。もう迷ったなと思ったらすぐに地図を見ることにした。

 さて、今日は朝飯を抜いてきたので体調万全だ。しかも昨日は胃薬を飲んでいる。飲茶が有名と書いてあったが、12:20分でまだがらがら。しかし30分を過ぎるとどっと混みだした。12:30から昼休みなのだろう。こちらが日本人と分かるとメニューの日本語対訳表を持ってきてくれた。テーブルに備え付けの紙に鉛筆でチェックを入れると注文完了。
 蒸し餃子、ちまき、春巻、マンゴープリン、揚げ餡饅頭(中心にバナナが入っている)、ふわふわのパン生地に練乳をつけて食べる菓子。カスタードタルト、ビーフンスープ、牛肉の黒豆炒め。
 値段が特別大中小で分かれている。おいしくて安いので満足。客層を見ていると親子だったり会社の同僚と割り勘にしていたりと、たまに来る店(ちょっと地元としては高いのか)なのかなと思った。

 
  腹ごなしに(いつもそうだ)隣駅にまで歩く。途中、映画館を見つける。若い人でごった返している。なにを上映しているかと思えば、『少林足球』(ショーリン・サッカー)。スターの周星馳が主演のスポ恨ものらしい。

そんななかを潜り抜け、足ツボマッサージの店 「呉若石神父足部反射區國際研究學院」(ファーザー・ジョゼフ・エグスター・フットマッサージ) を尋ねる。外に大きな看板は出ているが、入り口は脇道にある。、暇そうな警備の叔父サンが身振りで足ツボかとジェスチャーをし、エレベータのボタンを押してくれた。予約もなしに行ったにもかかわらず、午後1時30分すぎで受け付けてくれた。わたしは見学ということでMだけが奥へ通される。どうやら10人くらいは一度に治療を受けられるようだ。日本の歯医者然とした待合室にはチョンユンファの写真と並んで定岡正二岡田奈々の写真が置いてある。約30分後、放心状態のMが出てくる。からだの各部位に対応する足ツボを指摘されながら、もみほぐされる。心持ち軽くなったようだということだが、もみ返しがかなりあるようだ。あと食後一時間以内に揉まれるのは本当はダメだそうだ。

 マッサージの店を出ると、もう繁華街の銅鑼灣だ。ここも人出がすごい。土産物をということで、そごうに入ってみるが、高級店と言う感じで品揃えもおとなしく日本にあるものと変わらなかった。大きな本屋。旭日屋があったが、全部日本語の本だった。ふたたび表に出ると、傘の波と人手に圧倒され、ここから脱出することにする。二階建てトラムは、メインの通りの中央上下線を走っており、横断歩道を渡った途中に乗降場がある。降りるときに2HK$を払う。しかし全車両冷房がない。混雑した車内で汗が噴き出す。地元の人は後ろから乗って、二階に上がり、前の階段から降りるようだ。途中で降り返す路線に乗ったため、終点駅のワンブロックをぐるりとまわり、もと来た方向へと向かう。このとき裏道へ出ると、にぎやかな肉屋や乾物屋が目の前を通り過ぎる。で、こちらは人々に荒っぽい活気があり、トラムを無視して、前を横断するのでなかなか進まない。なかにはガンつける婆さんもいる。このあたりまで来ると観光客はいないようだ。しばらく街のなかを歩いてみる。どこまでもスーパーマーケットとアパートがどこまでも続いている。途中に京劇の劇場がある。地方の公会堂のようだ。片隅にはショップがあり、テープや本が売られていた。

 
目的地の香港電影資料館まではまだ遠いため、バスに乗る。制服を着た男子学生がカスタード・タルトを立ち食いしていた。バスを降り立った場所は港湾地区を開発したような開けたところで、電影資料館はまだ新しいビルだ。1階のロビーに入ると、何十年か前の東洋神話故事劇映画で使われた大きな足の複製がある。べつに入館料は取られないが2階のホールでの上映会には金がかかるようだ。ちなみに8月にはツイ・ハーク(徐克)の特集。1階の奥ではパネル展がやっていた、香港映画の名コンビ展がやっていた。でもわかるのは、Mr.Booのホイ兄弟とプロジェクトAのジャッキー、サモハン、ユン・ピョーくらいだ。3階には図書資料室があり賑わっていたけどわれわれはパス。全体の雰囲気としては東京のフィルムセンターのようだ。展示物がないので見るべきところはないなあ。  パンフはツイ・ハーク特集


 雨は止んできたが、果たして景色は見えるだろうか。ビクトリアピークへ向かい、金鐘まで地下鉄に乗る。ケーブルカーの乗り場は中腹にあるのでそこまで歩いて行くことにする。徒歩ではパシフィック・プレイスのなかを抜け、香港公園経由が近いし便利だ。香港公園から、四方を眺めると、ビルやマンションが覆い被さってくるような感じを受ける。この公園は中央に川が流れており散歩するのも楽しい。さてピークへは名物のケーブルカーで8分。名所なのでまわりからは日本語、韓国語、英語が聞かれる。上に登るにつれ、霧がどんどん濃くなる。展望台からはなにも見えなくなる。ここの土産物は西洋人向けの工芸品が多い。暮れるまで少し時間があるので展望台のさらに上にあるレストラン、マルシェに入る。ここはビュッフェ方式なのでディナータイムまでは安い。われわれはドリンクだけ。ウエイトレスは英語がわからなかった。若い人でも英語が出来ない人もかなりいるようだ。窓はガラス張りなのだが、まったく外が見えない。いくら待っても100万ドルの夜景どころか5000ドルくらいにしかならない。
 (下)展望台からの定番景色と夜の高級マンションの明かり



 

 ふもとの金鐘まで降りてきてバスで九龍へと向かうことにする。海底トンネルは、二階建てバスが通れる高さ。夕方なので会社帰りのひとが次々と乗り降りする。バスはネーザンロード(彌敦道)にでる。油麻地で降りる。ここらへんはメインストリートのなかでちょっと寂しいところ。尖沙咀と旺角はにぎやかなのだか中間のここは、大きな店舗や看板がない。
 
 で、ブローウェイシネマテークというところにむかう。ちょっと渋谷のミニシアター然としているが、ロビー奥のショップに入る。ポストカードが充実して、公開中の映画も含めポスターもいくつかある。が香港映画はウォン・カーワィーくらいであとは欧米映画が主だ。書籍も少ない。きわめてまともだ。
 こちらの映画館は、シネマコンプレックス形式が多く、アメリカ映画では、ほぼアメリカと公開が同時なようだ。ただ『AI』は一館しか上映していなかった。
けっきょく、いまひとつで、土産物でもさがしに、へ戻るかと言うことで、夜9時過ぎに地元の大きな7階建てのスーパー、ジャスコ吉之島へたどり着くが、あまり冴えたものはない。なぜか吉野家が入っていた。といううちに10時になり閉店になる。はっと気づくが飲食店もどんどん閉まっている。雨はどんどん強くなってくるわで、「またマクドナルドテイクアウトか?」と考えるが、もう少しさまよってみる。地元の軽食屋もちょっとなあということで、飛びこんできた南国酒家という看板をみつける。

 ちょっと広めの店内に一組だけの残っているだけでひっそりとしている。メニューには英語もなにもない。給仕の叔父さんたちも投げやりだ。はっきり言っていまひとつ清潔感もないけど、仕方がない。さて注文だけどまったく見当もつかない。ので必殺のメモ帳を取り出す。「湯」と書く。これはスープで通じる。で、適当に一品頼んで、あと「肉」と書いたらうなずき選んでくれた。ほっとする。あとビールを注文する。なぜか香港のビールはサンミゲルが多い。早速、大きなスープ壷が出てきた。冬瓜と鶏肉のスープ。最初に具を皿に取り出し、スープだけを注ぐ。具へ別に食べる。次に菜っ葉というかつる草の炒めもの。つる草が切れていなく50cmくらいの長さがあるしかもなかなか噛みきれない。最後に揚げ豚肉のオレンジソース(ケチャップか)掛け。それに白飯。そろそろ厨房は火を落とし、奥のテーブルではコックたちが賄い料理を食べ始めている。それでも30分かけて全部食べた。帰りには正面の出口は閉められ地下の駐車場から出された。雨は小ぶりになっていた。