香港 小心地滑日記

香港 小心地滑 日記

2001年7月15日〜18日


「小心地滑」とは雨が吹き込む屋外でよく見かけた看板の言葉で、滑るから足下注意の意味

1HK$(ホンコン・ドル)は20円で考えて頂けるとわかりやすいです。(ほんとうは18円くらいですが)



【7/15(日)第1日】 湿度90%、街じゅう全部がマーケット

 キャセイパシフィックのストライキはぎりぎりで解決したものの、当日の飛行機は中国北方航空の中型機で、予定されていた機内映画の上映もなかった。ともに香港初心者の男ふたりの道中(同行のMは初海外!)なので果たしてどうなることやら。単なる観光コースには収まらないだろう。

 香港への、到着予定時刻になっても一向に着陸態勢にならない。しかもますます雲は厚くなっていく。窓の外は一面真っ白。と突然フラップが下がり、雲が切れたとか思った次の瞬間には、ドンと軽い衝撃とともに着陸していた。逆噴射のなか豪雨の水しぶきが上がり窓の外が見えなくなる。誰だここ数日いい天気だといっていた奴は。Yahooの天気情報では晴れ時々くもりと出ていたのに。しかも気温は27度。東京より7度も涼しい。


 日本との時差は1時間なので時計を戻す。到着ロビーまで500メートル以上、延々と動く歩道を乗り、さらに地下の二両編成の無人シャトルトレインに乗る。だいたいどこの国でも入国ロビーに出れば、その国のにおいがするのだけど、この新しい空港は完全空調と雨模様のためにせっかくの採光抜群のガラス張りの建物に陽が差し込まないためだろうか、あまりにも無機質なロビーだ。入国手続きもパスポートNoを打ち込むだけで難なくクリア。


 
  ここから接続するエアポートエクスプレスの改札に向かう。行く手を遮るように円形のカウンターで、乗り物共通カードの「オクトパスカード」を買う。
150HK$也。地下鉄、バス、フェリーをこれ一枚で乗ることができる。JRが始めたSuicaカードと同じ。使い方はカードの裏面を改札機の上の白い部分に接触させればよい。地元の人はバッグの一番外側のポケットに入れてバッグごと改札機に触れさせて通っていた。このカード使い出はあるのだけど、旅行者にはいまひとつ使いこなすまでは時間がかかる。まず150HK$のうち50HK$は保証金なので、実際のは100HK$までしか使えない。万一、改札を出るときにマイナスになっても、マイナス表示が出て借りという形で乗車することはできるが、次回からは駅の切符販売機の横にあるカード増設機で、カードの$を増やす必要がある。でもこれ50HK$か100HK$しかなくおつりも出ないので注意。どれだけ残っているかは改札の際に数字が出る。または券売機の脇にある機械で確かめることができる。あ、それから、旅行者は帰国するときに買った空港のカウンターで返金してもらうことができるから。われわれのように歩き倒す人はどうぞ。

 さて、われらがホテルは、繁華街とは反対の北側、新界地区にある。エアポートエクスプレスで一駅、青衣で乗り換え、次の茘景乗り換えなくてはならない。
 空港からは海沿いの線路をひたすら走る。4両編成の列車はきれいで10分おきに出ている。雰囲気は成田エクスプレス。でも全席自由席。10分ほど乗って次の青衣駅。エアポートシャトルと並行して走っている東涌線。節約して市内まで行きたい人は、20分くらいの違いだからここで乗り換えると良い。こちらの駅のエレベータは全面ガラス張りなので、ホームにいても圧迫感がない。日本だとやれ清掃が大変とかいう話になるんだろうな。ちなみにエレヴェータは日本製。  あとイギリスの植民地だったので、1階がGで、2階が1階となる。慣れるまではたびたび迷う。エスカレータも全然速くて快適。歩く人は左側を通る。基本的に屋内はどんなに広いスペースでも狭くても全部冷房が入っている。まあこちらの人は外でも汗かかないんだけどね。歩くスピードはやはり速いです。といってもせかせかしている印象はありません。まあどこでも大声でよく喋るわ。男も女もずっとなにか話してます。携帯電話ですが、一人一台ペースで持ってますね。NOKIA製の手のひらサイズのものが主流。着信音は甲高いピッピッピッピッで、何人かは着メロもいました(まだそれほどの流行じゃない)。地下鉄でもどこでもよく話してます。
地下鉄の車窓から、都心は地下に入る

  

 さて二度乗り換えて、地下鉄の終点駅のに着いたのが夕方5時。駅を出た途端、ものすごい人出。と豪雨。今日は日曜日だった。(でも他の日も人出はそれほど変わらなかったが)。
 街のにぎやかさは日本人の想像を越える。日本でいえば駅前商店街の一番にぎやかな一角たとえば、100m×100m分の店舗が街じゅう、いや香港じゅう全部続いていると考えて欲しい。街全体が商店街だ。


 ここの駅前の賑わい方は町田とかそういう感じ。駅の出口は2階。そこから隣のビルそのまた隣へと、延々1キロほど、ビルの2階を通路が繋げている。一つのビルの中を抜けて次のビルへ行ける。昔の駅ビルのようだ。もちろん人が通る両側は店舗で賑わっている。店の感じも駅ビルで天井の低い通路に飲食店、床屋、雑誌スタンド、電器修理屋、不動産屋。その間に上の階にいくエレベータがあり警備員が座っている。ビルの上は30階建てのアパートになっていて、住人の入り口になっている。他もだいたい同じ作り。駅ビルの上が自分の部屋ということになる。逆にいえば、遠くに見える高層アパートの下には必ずスーパーマーケットがあると思えばいい。

 しかし、地元のひと以外にはどこに繋がっているかわからない。行き先表示板はほとんどないのでビルの中から外に出ようとするだけで迷う。日本のように一階の入り口が広く取ってあるわけではない。2階がメインなのだ。さんざんビルの中を迷った挙げ句、なんとかホテルに到着する。駅からは渡り廊下を辿って15分のはずだが30分かかった。すでに汗でダクダク状態。
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パンダホテルは30階建て2000室以上ある観光ホテル。空港に近いが、繁華街から離れているためか値段はそれ
ほど高くない。欧米人も多かった。ただ水はけがいまいち、壁が薄いなど難はあるが。行けなかったけど屋外プールもある。


 
荷物を解き、さっそく夕食を摂るために街へと向かう。こちらでは帽子やサングラス、髭や長髪はほとんど見ない。男は派手なシャツは着ない。これに当てはまるのは日本人くらいだから観光客とすぐばれる。あとサンダルの香港人はやはり多い。これに携帯電話なら間違い無い。
 地下鉄駅のアクリルの大きな看板広告には8月公開の反町隆史アンディ・ラウの「FULL TIME KILLER」が街中に溢れていた。

 駅の入り口にあるキオスクで、建物地図とバス路線がわかる香港街道地方指南というガイド(62HK$)を買う。地下鉄放送は英語と広東語。車内広告は電光掲示板。網棚もない。
 およそ20分で繁華街の尖沙咀に出る。ちょっと時間が早いので一駅前から歩くが、雨がどんどん強くなる。名物の看板づたいに、かなりの高さから滴が垂れてくるのでけっこう濡れる。観光客も地元の人も傘を差していて『ブレードランナー』の世界。などいっているよりもいまの問題は「傘がない」だ。横道に入ってセブンイレブンを見つけた。折り畳み傘を購入。なんとセブンイレブンオリジナル傘。こっちでは一ブランドのようだ。しかし店は日本のような品揃えではなく、酒屋が転業したやる気のないコンビニのようでこじんまりしている。



  

 さてようやく歩き始める。看板の密集度も肉眼で見ると、それほどでもないし、極端にでかいのも繁華街の一部分だけだ。それでも圧倒されるけど。このなかでもマクドナルドの看板は新しく目立つし数も多い。

 オノボリさん気分で上海料理店「滬江大飯店」へ行く。店内は広く、あまり待たされずにテーブルに着くことができた。やはり日本人が何組かいた。席に着くと雨に濡れたところに冷房が効きすぎてはっきり言って寒い。メニューは英語付きだったのでなんとか読めた。

 お目当ての前菜、鳩の紹興酒浸けは、一羽丸ごと「こんちわっ」ていう感じで出てきた。牛肉と野菜の炒めもの。これは野菜が食べたことない種類のものだった。それと辛酸湯(辛いスープ)にビール。日本人的な麺飯でしまるところまではたどり着かない。ほかのテーブルでは数品に甘い点心というのが多かった。むこうの日本人のテーブルには山盛りの焼きそばが来て困惑していた。すべからく料理の量が多いので、日本人には食べきれない。無理すると胸焼けがする。あとこちらでは食事中あまり酒は飲まないようだ。たしかに飲んで食べようとしても食いきれない。味はおいしい。といって特筆するほどでもない。東京や横浜の中国料理店でもこのくらいはという味。まあ素材が良いのでその差はあると思う。勘定は451HK$。ほかの店もそうだけど、レシートはくれない。
 一時間半かけて食事を終える。店の外に出ると雨は止んでいた。レストランから歩く。この時間というのに人出が多い。別に観光客だけでもない。電化製品の免税店や「ロレックスのニセモノあるよ!」のインド人を振り切りながら歩く。(日本人相手の客引きはそれくらいだった)。こちらでは頭にターバンを巻いたシーク教徒のインド人をたくさん見かけた。あとメイドをしているフィリピン人女性も多かった。
 HMVは世界中どこでも作りは同じ。1階がヒットチャートや新譜、2階が洋楽、3階がVCD(ヴィデオCD)、DVD、ゲームソフト。4階が広東ポップスとJポップ。日本のポップス、aikoや宇多田ひかる松隆子(こう書く)、日本のドラマ主題歌全集(サザンやB'zなどごちゃまぜ。どういう版権だ?)が売れていた。テレサ・テンもワンコーナー占めている。アイドル歌手もかわいい系から歌姫のようなジャケットまで数多く並んでいた。唄い方がクビを締められて呼吸困難になっているような宇多田ひかるを真似たものが多かった。そういう影響ってダイレクトなんだなと感じる。 < さてVCDとDVD だが、両者の数は互角。だけど圧倒的にVCDを見ている人が多い。値段が全然違う。最新のものでVCDが50HK$に対してDVDは200HK$以上はする。ゆえにVCDしかチェックしてない、すまぬ。品揃えだけど香港映画は、数はかなりあります。旧作になると6HK$から20HKSでバーゲンされています。有名どころの王家衛(ウォン・カーワィ)の『花様年華』は60HK$。ジョン・ウーの『狼たちの挽歌』は50HKS。ブルース・リーやジャッキーチェンも全作あるのではないでしょうか。またテレビドラマシリーズも売ってます。洋画はめぼしいものはありませんでした。最新のものも公開が日本より早いためにVCDになっているものくらいで旧作などもないです。充実しているのは日本のアニメとテレビドラマ。テレビシリーズがそれこそ「ちびまるこちゃん」からあります。邦画は新しいものが一通りはあります。なぜか『青春の蹉跌』があった。アダルトものが堂々と一棚占めていて女性も眺めていた。中身はほぼ日本のAV。4、5年前に消えてしまったようなAV嬢のシリーズや中山美穂激似流出ビデオなんてものまであった。買い物はもっとレアなものがあると考えて後日にまわす。腹がいっぱいのために歩いても腹ごなしにもならず、デザートはあきらめてホテルへ戻ることにする。

 夜にもかかわらず九龍公園とかの暗がりに人が入っていったが、ほんとうに一概に安全なのかはわからないのでコメントはしません。われわれの行ったところでは危険さは感じなかった。
途中、コンビニのOKストアに寄って、ミネラルウォーターを買う。店の中でカップ麺を食っている青年たちがいる。地元の麺や粥の店は深夜まで人が絶えない。24時間営業も当たり前のようだ。バスもずっと営業していて大きなバス停の近くからは、20人乗りくらいの小さな緑色のミニバスやタクシーに乗り換えられるようになっている。それこそ網の目のように交通網は完備されているといえるだろう。どこへいくにも待たずに近くまで行けるということだ。

 ホテルのテレビでは「ミス・ホンコン」の中継や「ミリオネア」の香港版がやっていたが、みのもんたのような濃いキャラはいなかった。2008年のオリンピックが北京に決まったのでそのニュースもトップだった。ニュースでは盛り上がっているのは北京だけで、香港も台湾も冷静な様子だった。また深夜にはソフトポルノが放映される。ぜんぜん絡みもないし、胸が見えることもないような内容なんだけど。ついついみてしまう。