俺、南進して。

俺、南進して。

俺、南進して。

 町田町蔵の軽薄重調文章は好きだ。やるせないほど駄目男も良い。だけど、アラーキーとのコラボレーションはちょっと企画としては面白いけど、結果お互いに、自分のテリトリーを守りつつ、この辺で手打ちにするかのような、 中途半端な心地良さを目指してしまったために、刺激的な読み物には程遠い出来となった。
 町田町蔵の小説のおもしろさは、彼自身がモデルかもしれないけど、まさかこんなことは、あるまいと読者が笑える、その法螺話に魅力があったのだけど、アラーキーの写真に彼自身が出ることによって、法螺話が想像できる高さにしかならないので、法螺じゃないのでおかしくもなんともないのである。
 またアラーキーの写真の小説性も、一見無関係な写真を並び替えただけで、エロスやストーリーを生み出すのがその真骨頂ではないだろうか。まあ大阪との相性があまりよくない気もするけどね(大阪でも難波だけど、その辺のこだわりは関西人で無いわたしにはわからないです)。
結果として、荒木の写真は、町田の文章に合わせたものとなった。逆に、町田の文章は、荒木の写真に合わせたものとなったでもいいのだけど。 ふたりでやることが相乗ではなく、相殺効果となった。