ハード・タイム

 いつも水準点を越える出来なので安心して読める少ないシリーズとして重宝しています。登場人物が自分たちとともに歳を取って行くのは続き物ミステリーのひとつの特権とも言えます (まあ、そういうのを拒否するミステリー通連中もいるけど) 。
 たぶんに、シカゴの風俗小説として読みつづけるのがよいのだろうが、今回は刑務所問題というホットな問題が全面に出てくる。 このウォーシャウスキー・シリーズが魅力的なのは、被害者や脇役を含め、登場人物が魅力的に肉付けされているからだろう、もちろん主人公の彼女は相変わらず魅力的なのだが。
 今回、シカゴで撮影がはじまるテレビシリーズの、オープニング・パーティーが謎の発端となる。ここからいろんな事件が膨らんで行く。主人公の無茶な行動を笑ってすませるために、全巻読んで彼女のファンとなろう。