死のロングウォーク

 キング版「バトルロヤイアル」というか、こっちが本家なんだけどね。独裁国家アメリカで17才の少年が最後の一人になるまで歩きつづけるという作者が大学時代に書いた習作を屋根裏から引きずり出して出版したらしいということでわかるように、非常に類型的で粗い出来。短編としてのアイディアでどこまで書けるかを試したようなもので、バックマンシリーズの常として身も蓋も救いも無い読後感となっている。1時間くらいで読めるのでキング=バックマンを研究する人にはお薦めします。
 キングのお里がいかに50年代ドライブイン・B級ホラーであったかが構造的に透けて見えて、 「なぜキングの原作の映画はつまらないのか?」 が理解できるヒントにもなります。