誇りへの決別

誇りへの決別 (Hayakawa novels)

誇りへの決別 (Hayakawa novels)

 シリーズ第二作。イギリス情報部黎明期、第一次世界大戦前の欧州情勢をめぐる権謀術数、今回の目玉は飛行機とイタリアである。飛行機好きのライアルとしては本領発揮だ。まだ海のものとも山のものともわからない新兵器をどう料理するのか見もの。
 またイタリアは新興国家としてオーストリア王国との対立も描かれる。 ここら辺を読むと昨今のユーゴ情勢も少し見えてくる。 愛国的詩人として三島由紀夫も入れ揚げていたダヌンツィオも登場し、いつものやるきのないスパイ大尉と、アイルランド革命家くずれの彼の部下、美貌のアメリカ人富豪のトリオも活躍する。 本格的冒険間諜小説をご堪能あれ。