奇術探偵曾我佳城

奇術探偵曾我佳城全集

奇術探偵曾我佳城全集

 最後の一行を読む。しばらく絶句したあとに、うーんと唸る。前の文章を読み、さらに前の章に戻り、舌打ちをしながら、その前の短編を読みなおし、パラパラとページをめくり一番最初に戻りためいきをつきながら、表紙の裏カバーを剥がし、じっと見てから地団駄を踏む。まただ、また泡坂妻夫のマジックに見事にやられてしまった。
 本書は、いままでに出た女奇術師、曾我佳城シリーズを一冊にまとまたものである。奇術研究家としても著名な作者がその愛情を注ぎ込んだ集大成であり、泡坂魔術健在です。 この本自身がトリックともいえるので、なにも書きません。ただゲーム性以外の倫理観を探偵小説に求める松本清張な方にはお薦めできません。エラリー・クイーンが好きでない人は読まないほうがいいです。はっきり言ってかなりすれっからしの愛好家じゃないとたのしめませんよ。
 それにしても、毎回出る凝った名前はどういう裏があるのだろうか。だれか解明したかなあ。情報求む。