三頭山

(1531m 東京都桧原村)■地図
 
(4分13秒)
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今日は気温が4月と同じくらいになるというので、一足早く春を体感しようと出掛ける。
都民の森がある三頭山に、北側から登り、西側の小菅村に抜けていく予定。
8:30、奥多摩湖の峰谷橋の脇にある公共駐車場(地図)から歩き出す。峰谷橋にはすでに数人の釣り人が竿を垂らしていた。対岸から鋭い鳥の鳴き声がする。目を凝らすと木の枝に猛禽類が留まっている。ノスリかな?魚を狙っているのかしらん。
歩道の狭い短いトンネルを過ぎると、眼下に「浮橋」が見える。湖上を渡るドラム缶橋だ。水面すれすれの目線で湖を渡ることはないので新鮮。波も無く穏やかに目覚めていくまわりの山々を眺めながら進む。とは云っても渡っていると当然だけど揺れます。船に乗るときの乗船デッキみたいな感覚。5分ほどで対岸に着く。
湖沿いの遊歩道をしばらく行き、分岐点の木段を登ると「奥多摩周遊道路」に出る。早い時間にも係わらずたくさんのバイクや見たこともないクラッシックカーが猛スピード、エンジン全開で走り抜けていく。これを右手に下っていく。
700mほど進むと、土留めのコンクリート壁の途切れたところに、まるで作業道のような目立たない「ヌカザス尾根コース」の取り付き点がある。道標が掲げられているので見落とすことはないが、登山道入り口らしくないのでちょっと不安になる。ちなみに「ヌカザス尾根」は、漢字だと「糠指尾根」です。
雑木の落ち葉が敷き詰められている中を適度に折り返しながら登る。やがて尾根の先端部にたどり着くと、次第に杉の植林が混じってくる。その合い間から先程の湖が見える。落ち葉で道が埋め尽くされているので、くるぶしまで嵌まりながら登る。クッションになって膝腰には優しい。
やがて展望の無い平地、「イヨ山」の山頂(地図)に着く。ここからアップダウンを続けながら進む。右手の山頂に見える白い大きな建物はなんだろうか?(調べたら、大寺山にある仏舎利塔だと書いてあった。あれはたぶんかなり大きいよね)その奥には小菅の村が見える。
しっかりと根を張り、強風で捻じ曲がった巨木が道を塞ぐように立っている。まるでティム・バートンの映画のようだ。それを横目で見ながら進む。やがてかなり急勾配の斜面が現われる。下り用にロープが張られている。登りはジグザグに行く道がある。ハアハア言いながら時間をかけて登りきると、「ヌカザス山」(地図)に着く。
ここで道は「ヌロクボ尾根方面」と分岐している。この先も小山を幾つか越えていく。ところどころヤセ尾根になっていて両側が切り落ちてそこを強い風がドオッと通り抜ける。凍結していたら煽られて怖いです。
しばらく休憩していると少し離れたところの木が突然、ベキメキッ…、と折れ、ドサドサッ、ザザァァー……と斜面を落ちていった。台風じゃなくても自然に木は、倒れるのですね。気をつけよう。あとカミナリが落ちた後の黒焦げの枯れ木もいくつかあったぞ…。
「オツネノ泣き坂」を過ぎ、少し登ると平地に出る。ここが「入小沢ノ峰」だ。12:30、疲れたのでここで昼食にする。見るとキタテハが舞っている。好奇心旺盛なチョウで、いつまでも周りをくるくる回っていた。小さなムシが出てきて顔のあたりを飛んでいる。風も無くポカポカとして汗ばむくらい。まだ3月の上旬だというのに。もうすぐ山じゅうが芽吹くのだろうな。
しばらくは広い尾根道が続く。前方に三頭山の峰が見えてくる。少しずつまた登りがきつくなると、北斜面にところどころ雪が見えるようになる。落ち葉の下にも凍った雪がありうっかり踏むと滑る。もう少しで頂上という地点で左へ巻き道になる。細い道がずっと雪で覆われている。しかも氷化はしてないが硬い。先行する踏み後はあるが、恐る恐る行くが途中で滑落したらと思っているうちに足が止まって進めなくなる。やだなぁ。度胸とかそういう問題じゃないです!足場が不安定の中で、踏ん張って立ちながらザックから軽アイゼンを出して付ける。無雪期ならなんともない道だろうが滑り落ちたくは無い。200メートルほど行くとすぐに頂上直下の都民の森の分岐点に着く。雪は無い。
軽アイゼンを外して、木段を登ると2:00過ぎに三頭山の頂上に到着する。富士山が見えるはずだが春霞みのためか見えなかった。宴会しているピクニックの人も多いので、ちょっと休んでから出発。今日はコースタイムよりずいぶん遅れている。
頂上を西の鶴峠方面に降りて、小山を二つほど越えると三つの山頂「神楽入ノ峰」、と近くの木にマジックで書かれていた。このコースは昔から往来があったのだろうか静かで歩きやすい。自然林が広がっていて、ところどころの巨木も見事。
やがて道は小焼山の北側を巻く。ここら辺はもう雪は無いので安心。巻き道が終わる頃に、「オマキ平(向山)、余沢方面」との分岐の道標がある。
木段を下り尾根を行く。広い尾根の迷いそうなところには新しい道標が設置されている。やがて「白沢方面」との分岐を過ぎると、ちょっと道が不明瞭になり目標が無くなる。赤いテープを追ってまっすぐに進むと、杉の植林に入っていく。300mくらい背の低い林を直進して抜けると、左手に3階建ての展望台がある。現在は危険のため立ち入り禁止になっている。ここが「向山」の山頂(地図)なのだろうか。
展望台からも下りる道があるらしいのだが見つからなかったので元の道に戻る。ここからは緩やかな下りの道になり、ここら辺は自然観察のハイキングコースにもなっているので、いくつも樹木の紹介のプレートが設置されている。
トイレと東屋を過ぎると、展望台のところで分岐した道と合流した。ここからは杉林の中のクルマが登れるくらいの傾斜を延々と下る。楽だが逆に云えば距離も長い。
ガサガサッとなにかが動く音がして跳躍した。シカの親子が走り去って行った。お尻のあたりが白かった。ようやく「オマキ平ハイキングコース」の登山口(地図)に到着する。ここには駐車場もある。
10分ほど歩いて、国道139号線の「余沢バス停」にたどり着く。ここから最初の駐車場まで日暮れが近づく中、走り抜けるクルマのベッドライトに照らされ続けて歩く。しかし、バス停を二つ過ぎたところで挫折する。なんとか「金風呂バス停」で幸運なことに最終バスが10分後に着くことがわかる。やってきた二人しか乗っていないバスで峰谷橋まで戻る。
今日は、地図で見る限り、距離的にはそれほど歩いていないのだが、上り下りが激しかったのかもしれない。後半は穏やかな自然林の雰囲気が良かった。新緑、紅葉の頃に縦走するコースを工夫するのが良いかも。
<参考>
http://alpine.sppd.ne.jp/okutama/mitou/index.html