大岳山

(東京都奥多摩町桧原村
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(4分23秒)
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夜眠れずにアジア大会の開会式をボーっと見ているうちに、午前3時を回ってしまったので、このまま眠れるはずも無いなと布団から出る。
深夜の五日市街道を養沢方面に右折すると、養沢川に沿って上流へと進む。夏には賑わうだろう渓流釣り、キャンプ施設の看板が真っ暗の中、時折ヘッドライトに照らされて浮かび上がる。思ったよりも早く登山道へのアプローチの入り口、大岳鍾乳洞方面への分岐点に着く。しかしこの先明かりがまったく無いので脱輪するとエライことになるので、明るくなるのを待ちしばし仮眠。ライトを消してエンジンを切ると寒さが這い上がってくる。
山の稜線がかすかに白んで来たので、ゆっくりとクルマを進める。本当はこのあたりに駐車して出掛けたかったが、狭い道路ながらもバスが行き交うし、近くに民家もあるので適当な場所がなかった。
なので今日は最初の構想、大岳〜御岳〜日の出という9時間以上の周回コースは諦めて、途中までのピストンで往復する。
渓流沿いの舗装道路はダンプが通れる広さがあるし、退避場所もたくさん設けられている。採石場を過ぎ、さらに大岳鍾乳洞を過ぎると道はさらに狭くなる。
ようやく行き止まりの登山道の入り口にたどり着く。ここなら数台の駐車は可能だ。このコースは関東ふれあいの道になっているから難しくも無く迷うことはないだろう。
山間はまだ陽が差し込んでこ来ないし水辺が近いので結構寒い。まず水量が豊富な沢を渡河して、ゆるやかな傾斜の杉林の登山道を進む。自然石を積んだ石段があちらこちらにあるので、ここは古くから神社参りなどの往来があった古道なのだろう。すでに紅葉は終りモミジさえも散って茶色の枯葉になっている。それが苔むした巨石に降り注いでいて、沢の流れにも広がり天然の庭園のようで見飽きない。
落ち葉で足元の石が見えず、また木製の橋も滑り易いので歩くのには気を遣う。たぶん雪が降ると歩きやすくなるんだろうね。まあその代わりここまで来る道が凍結するのが怖い。やはり蒸し暑いくらいの初夏がいいのかな。
しばらく行くと20メートルほどの落差がある、大滝が見える。水の落下する轟音が耳に心地よい。滝の横の鉄製の急な階段を登ると滝の真上に出る。ここからさらに続く渓流を登る。小さな滝がいくつもあって楽しい。
今日は(今日も?)どうも調子が上がらないのでしばらく休憩して、試しに明太子おにぎりを食べる。と現金なもので体力気力がすっかり回復。単なるシャリバテだったようだ。
やがて沢は左右に分かれるので、その間の林を行く。沢に別れを告げると急な登りになる。近くに水場があったけど、冬場は枯れそうだ。
上を見上げると山腹に大岳山荘のテラスが見える。結構遠い気がする。九十九折れの道をゆっくりと登って行くと、スギヒノキの植林から天然林に変わるので落ち葉の種類も増えて楽しい。
尾根に近づくとようやく太陽の光が差し込んできて次第に林が明るくなっていく。いままでは北側の斜面だったのだ。早出をするとこういう景色が観られるのですねえ。
次第に足元にササが増えマツの木が混じるようになる。やがて馬頭刈尾根に出る。ここから先は一昨年に雪が積もっていたときに歩いた。いま思うと1メートル以上の積雪だったのだな。しかし怖いもの知らずによく歩いたよ、どういうモチベーションを持っていたのだろうかと自分でも理解できない。
しばらく尾根道を行くとベンチがあり南西が開け、山の嶺々がどこまでも見え、そのさらに奥に雪を被った富士山が正面に現われた。ただちょっとガスがあってキレイに見えないのが残念。これから真冬になったらイイだろうね。
でも景色がよく見えるということは逆に風がよく吹き抜けるということなので、時折ドォッと音がして、一瞬遅れて大きな木々の遥か上の枝がゆらゆらするのが見える。
やがて大岳山の巻き道の分岐に出ると右手に進む。道は細く右側が落ち込んでいるので少し慎重になる。雪が降っていたときは、ここは小さな雪崩(?)で塞がれてしまってたっけ。
岩場をぐるりと回ると大岳山荘に出る。ちょうどここが大岳神社の境内にもなっている。大きな杉の木がある感じは武甲山にも似ている。神社にお参りをして、最後の急勾配を登る。山自体が奥社みたいなものだね。
岩だらけの道を手を使って登りきると、頂上(1267m)に到着。ここからも富士山、そして西側の御前山、三頭山が茶褐色の姿の冬山になっているのが見える。
シジュウカラヤマガラが数羽、さっきから飛び回って遊んでいる。そういえば他の人の山行記にここの小鳥が手に止まった記述があったのを思い出し、試しに手を出してみたら、何の警戒もなく飛び乗ってきたのでこちらがびっくりした。持参した行動食のピーナッツを細かく砕いて手のひらに置いたら、次々に飛んで来てはえさをついばんでいく。こりゃ楽しい。野性のサルがえさをねだるのはイヤだけどこれなら歓迎。
気温も上がり暖かくなったので、手乗りシジュウカラにしばらく遊んでもらう。
緑のたぬきを食べ終わる頃、団体さんが来たので、入れ替わりに下山する。11時過ぎだったのでもう少し進みたかったが、戻るのが大変なので、このまま往路を戻ることにする。残りはまた次回踏破(←大袈裟な)することにしよう。