ラスト・ライト

ラスト・ライト (角川文庫)

ラスト・ライト (角川文庫)

SASアンディ・マクナブが描く冒険小説シリーズ。もはやギャビン・ライアンの域に達しているね、と云ったら褒めすぎかな。自身の正義を貫くために国家の汚い裏の仕事を引き受けざるを得ない主人公ニック・ストーンが、今回送り込まれるのが中米パナマ。ここで狙撃による暗殺を命じられる。しかし今回もこの仕事の裏には決して表に出ない国際的な陰謀が隠されていた。
このシリーズの面白さは、特殊部隊の極地の戦闘ノウハウが披露されるところにあるが、今回はジャングル戦、狙撃のディテールが描き込まれている。
しかも、物語的な構成をどんどん外れて、ますますリアルタイムに展開するので、わずか一週間ほどの出来事を読んでいるとこちらの方がへとへとになる。
リアルタイムな世界の読み解き方も面白く、パナマ運河を巡るアメリカ、中国、イギリス、コロンビアの思惑など知らなかったことも多く、実はこれはいまも解決していない問題だと思うと余計に手に汗握って読みふけることができる。
まだまだ続編が書かれているので翻訳を心待ちにしています!