映画深夜便

夜中にBSでジャン=ピエール・メルヴィルの『仁義』と『リスボン特急』をやっていたのでつい観てしまう。やっぱ好きだなあ。簡潔で余計なカットや説明のセリフがまったくない、むしろサイレント・シーンのほうが長いくらい。照明のやり方がモノクロなんですよね。モノをきれいに映そうなんてまったく思っていない。むしろ如何にして影に潜らせて見えなくするかを考えているかのようだ。ライトが少ないから必然としてシャロー・フォーカスになる。夜間シーンは絶品だよね。切り詰めた末の美学がスタイルに変わる典型。『リスボン特急』のオープニングの銀行強盗シーンは何度観てもイイ。ああいう雰囲気を出すために力を注ぐ映画が無くなったよね。バイオレンス表現だけがひとり歩きをしている。頑張っているコーエン兄弟でも、どこかでパロディになっちゃうからな。
ニコラス・レイの『孤独な場所で』も何十年かぶり。はじめて字幕付きで観たけど、なんかねぇやはり好みじゃないッス。