チャイナ9.リバティ37

日本未公開、原題『China9.Liberty37』。モンテ・ヘルマン監督。
なぜかパブリック・ドメインなので落としてみました。画質良くないのは、VHSビデオをアップしたからか?スタンダードサイズだったしね。
何の知識もないままオープニング・タイトルを読むと、音楽:ピノ・ドナジオ、撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ、ウォーレン・オーツ主演、その妻にジェニー・アガター。それにサム・ペキンパーがチョイ役で出ている。なんというぜいたくというかセンスの良さ。そしてスペインロケによる西部劇。
いまこういう作品を観たかったのだとつくづく思いました。ひたすら簡潔で、モンタージュだけで出来ている作品。それでいて、充分に伝わってくる豊潤な映画。
モンテ・ヘルマンは今までに、無字幕で『銃撃』と『旋風の中に馬を進めろ』を観ただけです。この2作も同時に撮影したというのは有名な話ですが、そしてストーリーがよくわからないというか、こっちが思う映画の定石からどんどん外れていきアンチクライマックスに終り、カタルシスがまったくありませんでした。

銃撃 [DVD]

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旋風の中に馬を進めろ [DVD]

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この作品も変なお話です。ヒネり方がなんと、エエッそれでいいの?とこちらが疑問に思う間もなく、淡々と進んでいきます。カメラの置く場所も確信犯的に中抜きをしている。あまり複数台回しているようには見えないんですよね。そこまで、同じポジションが多いことを観客に教えることもないでしょう。それくらいはカメラの位置を変えた方が良いんじゃない手抜きに見えるよと思っても、律儀に中抜きをしている。ただそれがダメかというと全然そんなことはなく、逆にカメラ位置を全部変える方がおかしいんじゃないか、という気持ちになってしまう。
あと昔も思ったけど、馬を撮るのが上手いよな。走りとかじゃなくッて、ただ馬がいいんですよ。



モンテ・ヘルマンアメリカ人で、ハリウッドにいるというだけで損をしている。これがフランスならブレッソンのように賞賛されるだろうし、ニューヨークだったらカサベテスのような扱いを受けただろう。イーストウッドも西部劇を撮ってようやく認められたからね。所詮、誰も目の前にある作品を観ないで、作った人間の過去しか見ていないのですな。
自ら意識的に低予算B級映画を批評的に職人技で作っている、としかいいようがない、ひねくれたアタマの回路を持っている人ですね。波長が合うしドキドキするくらい好きです。
これ以上削ったら訳の分からないただの説明不足の下手なC級映画になってしまうギリギリのところに自分を追い込んで、なぜかわざわざ勝負したがる不思議な人です。
また観たい映画が増えてしまいましたよー。
この記事も面白そう。(ペキンパー、レオーネ、ヘルマンが揃った写真があった!)
↓こんな本もあるのですね。
Monte Hellman: His Life and Films

Monte Hellman: His Life and Films