アンビエント・ファインダビリティ

アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅

アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅

いまネットの中を彷徨いつつ情報の洪水に押し流されようとしてませんか。膨大な情報の量によって、いま自分がどこにいるかわからなくなっていませんか。目的地は見つかったのでしょうか。そこは本当に目指す目的地でしょうか?
本書は、広大なネット社会で迷子にならないようにするため、逆にどのように誘導したらよいのかを考えるためのガイドです。
アンビエント・ファインダビリティとは、ある「出発点」から「目的地」に移動するのに、「どうやって」「どのように」行くのか。そして「なぜ」このルートを選ぶのか。あるいは、あるいは情報を探すときに「どこから」はじめて、「どのように」入手するのか。
リアルの世界では、これまで当たり前のことと考えたり、わかるわけないよ、どうでもいいよと思っていたことを意識的に見直そうとする試みです。
時空間環境(アンビエント)の中での、見つけられやすさ(ファインダビリティ)とはなにかという考察なのです。
もちろんどこかに向かう場合、地図が読めなくても目的地には着きます。しかしその時なにを手がかりにして行動するのでしょうか。言葉による説明、窓から見える地形の変化、道にある標識。これらが確実に手がかりとなっているのです。
ここでは今まで無意識に行っている行動をもう一度見直してみます。そこには道に迷わないための、人間の行動の心理を合理化してきた歴史の積み重ねが見えるのです。
説明のために記号化された「言語」であり、測量のための数学から作成された「地図」であり、迷わないための区画化された「都市」であり、デザイン化された「標識」が、そこから導き出された人類の英知なのです。
そして今インターネットという広大な荒地に乗り出しています。ネットは特に「見つけられなければ意味はない」空間(アンビエント)なのです。
そのために言語学分類学、そして結果をよりわかりやすくするためのインタラクティブ表現、映像化、(GoogleNewsを視覚・編集化した、newsmapのサイトはすごいですね)。さらに周縁情報、最新情報を得るためのネットワーク化、タグ化、クチコミュニケーションが複雑に絡み合いながら利用され、発展していることが指摘されています。
ネットの世界が数学だけじゃなく、社会学をはじめてして様々な学問を使って動いていることがわかってきて驚きます。
これらの項目を丹念にひとつずつ紹介する教科書的な内容は充実しています。同時にこれら不可欠な知識だとも感じます。言
語学、分類学、社会科学と気になっていたけど、敷居が高かったそれぞれの分野が解説され、それがどのようにお互い関係があるかがわかりネットは理系の知識だけだと思っているのが、一気に様々な世界に広がり横断する快感があります。また難しい専門書的な書き方はされていませんので読み易いです。
また関連書籍やサイトの紹介も面白いです。これだけ早い翻訳に感謝と敬意をしたいと思います。Webとネットを考える上で必携の書だと思います。
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