ウルトラヴァイオレット




リベリオン』の監督の新作ということで、行ってきました。大好きです。細かいところを言ったらいくらでもそりゃ穴はありますよ。ストーリーだってアクションのための付け足しのようなものです。でも、そんなことどーでもいいじゃん。低予算で、これだけアイディアが満載だったら大満足ですよ。
これは、SF映画じゃなくて、香港武侠映画だよ。そう観れば、バッタバッタ人が斬られるもの、強引な展開も不自然な泣かせ部分もありでしょう。
お話は、これまたよくありがちな近未来設定なので迷うことはないです。字幕では言及されませんが、新人類はヴァンパイア一族の特性を持った種だと思って観るとわかりやすくなります。
SonyのHD24pのシネアルタによる全編ヴィデオ撮影です。CGI合成のために色味をかなり弄っていますが、それもいい感じだと思います。ミラ・ジョイボヴィッチの肌も綺麗に撮れています。微妙に紗がかかった効果は、ポストプロダクションだろうね。影の部分もうまく出てきて、フィルムのフラッシング効果(撮影監督のヴィルモス・ジグモンドヴィットリオ・ストラーロが得意とする現像効果、影の部分がより黒々と厚みが出る)みたいで良かったです。
外の色を落して寒々しくしているのも、スピルバーグが『マイノリティ・レポート』でやっているのと同じですね、逆に向こうがいかに安っぽくやっているかがわかる。
そして中国、上海ロケ。ロケ場所を徹底的に探したようで、近未来っぽいところをうまく選んだと好感が持てる。敵ボスとホログラフで話す空き部屋のシーンのような、中国っぽいところをもう少し使っても良かった気がする。同じく中国発注のCGはご愛嬌。ゲームっぽいとしても、編集はうまいよね。わくわくする。
アクションも編集は、さすがです、上手いし盛り上がる。きちんと何を描いているか分かるものね。きちんと見せたい画を撮れる監督だ。『リベラシオン』のガン=カタをさらに複雑にした殺陣は見事。全編徹底的に様式美で統一したから、何十人倒せても納得ができる。
様々なガジェットも物語のなかにうまく溶け込ませている。たとえば重力コントロール装置をオープニングで存分に使い、そんなアホなというアクションシーンを成立させているし、紙の携帯電話もきちんと折り畳んで使い、クルマのオートパイロットではハンドルに装着していた。弾丸を充填するシーンも細かく何度も見せていた。細部のリアリティ演出がよくわかっている監督だね。
リベラシオン』にしても今作も、なぜか続編が観たくなるんだよね。彼には、新スター・ウォーズ1〜3のどれか演出して欲しかったなあ。撮れる人ですよ。