チーム★アメリカ ワールドポリス

チーム★アメリカ ワールドポリス スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
テレビでしか映画を見ていなかった中学生の頃、映画を見たいがラジオも聞きたいし、他の番組も見たい。果たしてその映画が面白いのか?最後まで見るかどうか、自分なりのルールを決めていた。
それは映画解説が終わり、9:10分過ぎから映画がはじまり、人物と事件紹介を15分以内に終える、または事件の盛り上がりがあること、そして9:40分前後にエロいシーンがあって、CMに入ること。10:00前に次のドラマ展開に行くこと。
まあこれをクリアしていれば、最後まで見ても満足できる映画であることは間違いない。そういう映画とかの観かたを鍛えられ方をしてきたのだなあと、いまは思う。

というのは、本作品で「『パール・ハーバー』は糞だ」、「なんでマイケル・ベイが映画を撮り続けられるかわからない」と揶揄しているが、この監督・脚本チームは、工業製品であるハリウッドアクション映画を、時間配分やシナリオの作りからきっちりと解体しながらも、もう一度作りなおすと言うアクロバット芸をしていることに途中で気づいたからだ。
基本的にありえないバカバカしい設定を受け入れさせるために、どんな芸当を使っているのか(ブロードウェイ俳優が、突然ワールド・ポリスの一員となる映画の必然性、または土方が宇宙に行く必然性)。いかにして人物の薄っぺらい感情をドラマと音楽とモンタージュで誤魔化すのか。ジェリー・ブラッカイマー・プロデューサーが、意図的か無意識かわからないけど、アメリカいや世界中の感情をコントロールし感動させようとするか、その手口をを、ケチョンケチョンにする。それでいて、ただの安いコントではなく、別の完成度の高い作品に仕上げられるのが素晴らしい。
「『アルマゲドン』ってコメディだよな。本人たちがどう思っているかは知らないけどさ」という監督のコメント通り、あまりにハリウッドに侵されている、我々の脳みそを大笑いさせながら整理し直してくれる。
またハリウッド俳優が矢面に立たされるが、それはただ「本当はバカなくせに偉そうなことを言っているので、イジッテやれ」という子どもめいた単純な動機だけではないと思う。
実際に、世界一の権力者アメリカ大統領になった俳優がいたんだよ。いまだってテレビ選挙などをみれば、状況はバカバカしいほどじゃないか。これ以上のジョークはないだろう。俳優は人々を感動させるが、それは政治家が人々をダマすこととどう違いがあるんだい?ミスター・レーガン。そこが映画の作りとして、映画の現実化と現実の映画化の二重構造になっているのだ。
テロとかアメリカの世界警察化とか、わかりやすい部分だけが語られるが、底流には偉ぶった権力くそくらえというのが見え、ああやっぱ『サウスパーク』の作者だなって思う。