ザ・サーチ
- 作者: ジョン・バッテル,中谷和男
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2005/11/17
- メディア: 単行本
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著者がワイアード誌の共同創刊者であるためか、ビジネス礼賛書とはならず、あくまでもジャーナリスティックな視点を貫いている。といってもアエラ的な20世紀な視点ではなく、シリコンバレーを歩き回り、ドットコムバブルの時期を冷静に見ていた者の視点である。
Googleの成立から今日までをタテ軸にして、浮き沈みの激しい栄枯盛衰の検索の世界の極めて短い歴史を振り返っている。
そういえばそうだよなという、Altavistaという検索エンジンのこと、それが、全然ヒットしなくなって検索エンジンに失望した日。いろんな検索エンジンを使いまくった時期。Googleに出会った日の驚き。それが日常になっていくあり様。突如結果画面に広告が現れた日。それがどうしていかにして起こったかがわかって往時を思い出す。
すべてが繋がっていることの面白さであり、恐ろしさでもある。Googleがある日突然検索のアルゴリズムを変えるから、ネットショップにとっては死活問題になること。そういうGoogleの影の部分も書いている。
私が面白いかったのは、実はGoogle以前に出現して、Googleにビジネスモデルをパクられたネット広告の創始者、ゴー・トゥー・ドットコム現Overtureの創始者ビル・グロスの言葉だ。
「…検索の本当の価値は検索キーワードにあるのです」
発想の転換じゃないけど、普通は検索エンジンの複雑な解析の仕組みに価値があると思うのよね。でも本当の情報の価値は、何の検索キーワードを入れるか、平たく言えば、人々が勝手に個人情報を喜んで晒してくれるかということだったのだ。これ以上の生の膨大な信頼できる情報は無いという事実。Web2.0がこの考え方の延長にあることは自明だ。
そういう意味でパースペクティブを整理したい人にはお薦めです。
「シリコンバレー・スピリッツ」がネットスケープ狂想曲ならこれは、その続編だと言えるだろう。