根本山、熊鷹山(群馬県桐生市)

土曜日の午後にうたた寝してたら風邪をひいたのか咽喉が痛い。一冬無事に過ごしたのになあ。
それはともかく5時30分出発。昨日の雨のせいか、朝靄がかかった景色がそこここで展開している。荒川を渡る橋でも土手のあたり濃い霧が漂ってなんとも夢幻ですな。昇ったばかりの太陽も大きく真っ赤だがそれほど光線が強くなく地平線からその姿を晒している。快晴になるねえと気分良く走らせる。
7時、前回1月のはじめ雪山遭難しかけた根本山の麓の駐車スペースに着く。だれもいない。吐く息が白くなる。沢が近くにあるせいだろう。そういえば、渓流釣りの太公望たちがたくさんいたな、山登りより早起きだ。
今日は新しく購入したザック35L、7348円の威力を試すのだ。いままでの街歩き用のデイバッグと違って、ポケットがたくさんある!男はなぜかポケットが好きだ。私も大好きだ。服でも同じ値段ならポケットが多いほうを選ぶ。…それはともかく大きいザックはいいねえたくさん入って。使い勝手に慣れるまでまだ時間がかかりそうだけど。
ゆっくりと舗装された林道を行く。5分ほどで登山入口の不死熊橋を渡る。今日は前回と登るコースを変えていこうと思って橋の横から沢コースを経て根本山に登る予定を立てていた。で、沢コースの入口はどこかなと、あたりを見回すと一本のロープがあり、5mくらいの高さの岩場の上から一直線に繋がっている。一瞬絶句する。でも他にルートは無さそうなので、ロープに捕まり登ってみる。滑るぅ。昨日の雨のせいもあろうが、ずるずると岩場を靴が滑って落ちていく。全然登れない。頑張れば行けないこともないだろうが、カゼ気味ということもあり、沢コースは断念する(なんだそりゃ)。うーむそれにしても今度は靴を買わないとダメかなあ。確かにもう靴底がかなり磨り減っているよ。
とぼとぼと前回と同じ林道のコースを行く。と道の山側が崩れ、大木が数本倒れ同時に巨岩がたくさん転がり道を塞いでいる。そうねえ量にしたら小型ダンプ一台分の落石というところかな。こんなの直撃したら死ぬネ。落石侮りがたし、山で地震に遭わないようにしたい。まあそんなところを崖から落ちないように迂回して進む。
中尾根コースという道標に従い、林の中に入っていく。雪が無いけど、前のときとそれほど印象は変わらず。大体ルートを憶えていた。杉林を抜けるとまわりの山々に陽が当たり出して緑が映える。まだここは芽吹きには早いようだ。ヤマツツジもここではまだほんのちょっとしか咲いていない。先週の山とそれほど離れていないのに春の訪れが違うのは面白い。
結構淡々と歩く。時折猟犬の吠える声が谷間にこだまする。ほどなく根本山の頂上(1199m)に到着。8時50分。1月だと50センチは雪があったなあ。あれは積もり始めの時期だからかなりの根雪になったのではないかな。いまはまったくない。
一休みして遭難しかけた現場に向かう。やはり知らないと、頂上から90度右に曲がるのではなく、尾根沿いにまっすぐ行くよなあ。すぐに尾根の端っこに着く。ここでさらに進むと正面に赤テープが見える。これに従って降りていったんだよな、と記憶が甦る。なぜどこにも行き着かない方角なのにテープがあるのだと、いまさらながら不審に思う。さらにもう一度間違えた今度は左手を見る。まあこっちは一応けものみちのようなルートはあるので間違ったとは厳密には言えないけど、初心者増してや冬には行くルートじゃない。急坂で下が見えないんだからねえ。当時は何を考えていたのだろうか。思い込みとは恐ろしいです。ここに“角田先生受難の碑”を建てて(ウソです)頂上に戻る。
頂上から下りのルートもなかなか厳しい急坂。目印がなかったらこちらに進むのも躊躇するだろう。ほどなく巻き道と合流して東斜面のポカポカした落ち葉で埋まった平らな道を歩く。
根本神社興社に着く。ちょうど窪地になっていて小さな社やトタン屋根の建物の残骸がある。オバちゃん4人と引率のオジさんのグループに遭遇。あいさつをして話をすると断念した沢ルートはお盆過ぎに行くと空いていて涼しくて良いと言う。こちらは先に出発する。
ここらからは尾根道が続きピクニック気分。二つほどの軽いアップダウンを繰り返すと、広い尾根に出た。一面に冬枯れしない笹が広がり青い空に穏やかな陽光とさわやかな風が通り過ぎていく。これだよこれ、こういう春を期待していたんだ、とひとりでにんまりしてしまう。
10時、次の目的地熊鷹山の上には簡単なやぐらが立てられ、二階部分は二畳くらい広さがあり360度の展望が開けている。北を見ると日光男体山が雪が残ったまま台形の雄姿を見せている。日光白根山とかも見えているらしいけど、こちら方面の山は詳しくないのでよくわからない。南は霞んでいてよくみえないので残念。時間が早いのでおにぎりを一つだけ食べる。
ここから一気に下り、小さな鳥居をくぐり、林の中を転ばないように進む。程なく林道に出る。道標も無くどっちに行けば下りなのかわからない。偶然ちょうど近くにサイクリングのグループがいたので聞いてみる。彼らはこれから熊鷹山に登り尾根を下るという。えっ担いでこの急坂を行くの?平然とそんなことを話していた。すげえなあ。また知らない世界を垣間見てしまった。彼らもほぼ同年代だった。
林道をテクテク歩いて行く。途中小さな沢があり、水を飲んでみるがうまくない。たぶんに雨水が混じっているんだろう。ここはたくさんの沢があり合流しているので絶え間なく水の音がする。夏はいいかもしれない。ただ林道が長い。飽き飽きした頃に元の不死熊橋に出る。クルマに戻ったのが11時40分。駐車スペースには色んなナンバーのクルマが10台くらい停まっていた、
途中後半の下りでも分岐がわかりにくく見落としそうになったり、林道でも反対に行きそうになったりしたので、もしあの1月の時引き返さなくてそのままこのルートを進んだたとしても、別のどこかで迷っていた可能性があったと思いぞっとする。低い山でハイキング向けの山、こういう山の方がお手軽なので夏のシーズンには迷うことがないと、逆に道標がしっかりしていなかったりする。冬山用には初心者は来ないことを前提にしていることがよくわかった。それが教訓かなあ。
ちょっと疲労が抜けにくいので来週は休むかお手軽ハイキングにしよう。