タチ―「ぼくの伯父さん」ジャック・タチの真実

タチ―「ぼくの伯父さん」ジャック・タチの真実

タチ―「ぼくの伯父さん」ジャック・タチの真実

ジャック・タチという孤高の作家について当時の評論、証言を膨大な写真とともに振りかえる資料本と言っていいだろう。そこには余計な論評やプライベートの詮索はない。ひたすら真面目である。それゆえ に退屈だけど。タチのどこまでもモダンな作風はだれにも似ていないし、理解はされることはない。同時代のもうひとりの作家ロベール・ブレッソンは、その禁欲さゆえに論評しやすく模倣されやすいのでいま も語られるが、タチはまるで違う。それは彼の映画を何回見てもわからないことだと思うけど。彼の映画製作の姿勢はいまも見習うことは多いと思う。
『プレイタイム』を撮影するためにワンブロック分のビル群をふくむ都市の一角を建設した辺りの記述を読むと、「レオス・カラックス……小さい、ちいさい」と呟きたくなる。