草映画11

今回の仕上げは総じて前回のノウハウを流用したのでそれほど特記する事はないと思うが、順序立てて説明してみます。
編集作業。まず撮影時に16:9モードにして撮った(これは別に画面の上下を切るだけなので、縦長に詰めて収録するわけでもないので画質は4:3と変わらない)。色調の調整だけど、色を抜きつつ茶系統を出してパープル(紫)を僅かに加えてみた。8ミリのコダックフィルムの色調みたいだ。(前回の写真参照)本当は『太陽を盗んだ男』DVDのメイキングで鈴木達夫が紫のフィルターを使ったというのでそんな感じになるかなあと思ったのだけど…ならなかった。もちろん黒を締めて24コマに変換する。NTSCの30コマを24コマにするよりはPALの25コマを24コマにしたほうがキレイなのだろうか(要検証)。ちなみにPAL対応のDVカメラは秋葉原ヨドバシカメラとかで手に入ります。
編集はそれほど凝っていない。ただ一人二役ブルーバック合成がうまくマットが切れないので苦労する。ほとんどそこに時間を費やす(教訓:ブルーバック合成は撮影できちんとやりましょう)。あとオプチカル処理風にデジタルでズームアップしたり(デパーマ風にね)、タイトルを『セブン』のカイル・クーパー風にブラしたりする。
音響効果はまたネットから海外のフリー素材を探して当てはめる。微妙なエコーを加えることで音に厚みが出るなあ。本当は生音を付けたいのだけども、アフレコがないし、どれだけ手抜きができるかという実験でもあるので既存のモノを切り貼りする。
音楽は、バーナード・ハーマンとかクロード・シャブロルのようなユーロ・ニューロティックな不安な感じにしたかったので、ミニマルミュージックが良いと思って図書館の棚を漁る。結局、何枚か現代音楽のCDを借りて、視聴しスティーブ・ライヒに決める。一曲一曲が長いので、使えそうなところを取り出してHDDに取り込む。基本的にあまりメロディアスな部分は使いづらいので、ちょっと転調したりする箇所を見つけ出す。最終的に4箇所くらいになった。現場でも強風が吹いていたので、基本的なベースノイズに風音を乗せる。カットごとに風の強さとか距離感をフェードやイコライズで調整。あと恐怖モノなので(笑)雨と落雷も効果で途中で加えた。音楽のタイミングは『サイコ』調にいきなり大きな音から出したり、逆に薄く流したり、曲を出すタイミングをずらして気持ち悪さをわざと出して遊んだ。ミニマルは使いやすい。サントラを使いたくないのは出来すぎているので(当たり前だ)、ピタリとはまり過ぎこちらの画が負けてしまうし安直だからだ。
完成試写は前回と同じくPCのビデオ出力からプロジェクター投影。やはり1CCDだと解像力が下がるなあ。8mm映画みたいだ。でもビデオの変なつるっとしたリアル感がなくなるので良い。あとやはり徹底的に露出を絞って黒や影を強調したのは良かった。でないとテレビの再現ドラマになってしまう。今回スモークが面白く使えることがわかったのが収穫だ。